三毛ジャガーの物欲日記

オートバイ、自転車、登山、カヌーカヤック、スキーなどアウトドアレジャーを楽しんでいます。物欲にまみれていて欲しい物は買う、戴く、無い物が欲しければ作ってでも手に入れております。

カテゴリ: 山岳関係

2024年7月31日
最終日ですから下山し、モーターサイクルで帰らなければならないのです。明日からは仕事、しかも必要とされている行事を抱えておりますし。

山小屋の朝はテント場のそれよりは遅めなのでこちらも気を使って4時までは布団に入っていました。前日にほぼパッキングを終えてあり、ベッドに持ち込んだものだけをしまったら4時25分頃小屋を出ました。昨日びしょびしょになった登山靴はやはりそのままにびしょびしょで、乾いたインソールはたちまちに湿ってしまいました。

双六小屋の前はすでに朝のスペクタクルが始まっていました。
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一番右に見えるなだらかな山頂で右に落ちている山は燕岳ですね。あれに登ったのは2010年だからもう14年も前のことになります。そうだ、あれに登っている会社同僚にもこの写真送ってあげよう。このままではわかりにくいだろうから、矢印と「つばくろ」の文字を付けて。
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奥に唐沢岳、餓鬼山が見えます。あそこも歩いていないなあ。
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今日も天気はガスかな。まったくついていない。
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さあそろそろですよ。あれ、これ出ているでしょう。
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一瞬光りましたが、すぐに上の雲に入ってしまったようです。
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とにかく帰らなければいけないので5時02分下山開始します。あの天気の中、テント泊のつわものが結構いましたね。
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あれ、双六池の下は雲が切れているぞ。なんてこった、天候の回復した日に下山しなければいけないなんて。
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いよいよ天気は良い方向へと変わっていきます。遥か彼方に穂高が見えます。穂高の山頂付近はガスで覆われています。その穂高の一番向こうの端が西穂高で、さらにその先にロープウェーが走っています。その付け根まで下山するのです。長い!
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双六ー弓折乗越間は登ったり下りたりの道で、天気が良ければなかなかによい景色も見られるし楽しく歩ける道でした。


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高山植物の生い茂る道を行きます。天候には恵まれない登山となりましたが、季節は丁度良かったのかも。

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振り返ると双六小屋が見えました。ここからも見えていたんですね。往きにはガスでまったく見えませんでした。

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5時44分くろゆりベンチ通過
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昨夜まで降っていた雨は登山道に水たまりを作っていましたが、昨日に比べれば無いにも等しいくらいです。
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雪渓を歩きます。なんて、セルフシャッターでこんなことやっているからペースが上がらないのでしょう。
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6時11分弓折乗越到着。合羽を脱ぎます。ザックはここにデポ、貴重品と非常食だけを持って弓折岳ピストンに向かいました。


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山頂のすぐ下に笠ヶ岳方面分岐がありました。昨年登った山々です。どんな表情を見せてくれるのかな?駄目だこりゃ、東側の谷から湧いてくるガスでほとんど見えません。
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6時23分弓折岳登頂。

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写真では今ひとつはっきりしていませんが、肉眼ではかなりきれいに見えています。西鎌尾根から槍ヶ岳がそびえています。そうだ来年はこの尾根やろうかな。
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10分ほど過ごしたら戻ります。

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再びガスが上がってきました。なんだか落ち着かないなあ。


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弓折れ乗越に戻ってきたところで、女性単独行の方と会いました。シャッターを押す申し出をすると喜んでくださり、その流れで私もお願いしました。
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しばらく情報交換を行いました。昨日は大雨にあふれた水が登山道を滝にしていたり、沼にしていたりと鏡平までの道のりがかなり困難だったとのこと。6時43分弓折乗越出発。

ここから鏡平までは激下りです。ここを頑張ったらちょっと休憩しましょう。

7時11分鏡平山荘到着。
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鏡池のテラスでザックを下ろし、一休みします。単独行の男性がスマホのレンズを東に向けていました。
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「不思議なんですよ。逆さ槍を写したいと思っているのですが、手前の木も映っているし奥に槍ヶ岳も見えているのに槍だけ映っていないのです。槍が出るまでと思って待っているのですが。」

うーんなるほど。ほうほう、これはこれは。

しゃがむと見えますね。立ってみていると見えません。水面が上がってしまっているからでしょうか?かなり低い位置からでないと見えませんね。
「え、そうなんですか。いや見えないです。」

そこじゃ無理です。木の間に見えますから、この位置でしゃがむと見えると思います。
「あ、本当だ、逆さ槍が見えた!ありがとうございます。ずっと待っていましたが、まさか位置の問題だったなんて。これで安心して下れます。」

しかしそれも一瞬、すぐに槍の穂はガスをまとってしまいました。

お互いに写真を撮りあったら彼は先行して下っていきました。
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その後も順調に高度を減らしていきますが、登る団体が結構多くてすれ違いに時間を使ってしまいます。
8時55分石畳枯れ沢通過。
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団体客とのすれ違いのため、先ほど逆さ槍で写真を撮りあった男性に追いついていしました。
「どうぞ、前へ行ってください。」
と譲られましたが、歩行ペースはさほど変わらないので一緒に歩くことを提案、ご一緒することになりました。


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私と比べればまだまだ若いギリギリだけど40代、2019年から本格的に登り始めたとのことですが、山行頻度がすごくて私の経験を越えているかのようでした。様々た山の逸話を伺ったり話したり、盛り上がりながらの下山はとても楽しいものとなりました。

彼の話で驚いたのはクマに遭遇していること。腰に熊よけスプレーをぶら下げていました。いやこれもう必携かも。私も山のMochiさんとの白砂山山行の時、野反湖で私の運転する車のすぐ前を熊が横断しています。

南アルプス農鳥小屋の主はさすがに世代交代したという情報もいただきました。あの親父も今から考えれば懐かしいですね。

橋が見えてきました。あそこで登山道は終わり、あとは林道歩きです。
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9時08分小池新道入口通過。
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9時24分ワサビ平小屋到着。ここでザックを下ろし、二人で10分ほど休憩しました。ここからの足を尋ねられ、オートバイでと答えると
「近所ですか?」
という反応。
いや、東京は葛飾区です。
「え、私江戸川区です。」

その境遇にお互いさらに親近感を深めました。
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風穴通過。風穴は冷たい風が吹き出しています。今朝まで防寒着に合羽を着こんでいた状況から暑くて汗が噴き出る状況までわずか5時間という短時間での変化について来れない体に一服の清涼剤のような効果がありました。
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10時22分林道ゲート通過。
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さあ、駐車場はもうすぐだ。
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そして、10時30分、ゴール。
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ゴールしたらまずは下山報告書を提出します。持参した計画書に「無事下山」と大書して投函するだけです。そして遭難対策委員会の家族ラインや悪天候による暇で登山報告をしていた友人たちへも下山報告を送りました。
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ここで彼と別れ、2輪駐車場へ向かいます。俺の相棒はあの風の中、ちゃんと立っていられたかな?

おお、大丈夫でした。カバーをかけた3台の真ん中が私のV-STROM650です。左のも同XTじゃないかな?シルエットが非常に似ています。
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テントや濡れた装備を出し、干します。濡れたままにしておくと傷めてしまいますからね。少しでも早く乾燥させたいところです。
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そして乾かしている間に入浴と食事をします。今回はここ、中崎山荘奥飛騨の湯にしました。いや今回は、じゃないな。前回は風呂に入らず雨を逃れてとっとと帰っちゃたんだ。
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5日ぶりに入る湯はこれ以上ないほど気持ちの良いものでした。湯の花が大量に浮き、すべすべぬるぬるとした感覚が味わえます。これぞ温泉、奥飛騨の湯という名湯でした。食事はラーメンに。
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車両に戻ったら干している物を取り込み、改めてパッキング。13時20分出発準備完了。
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極上のワインディングを楽しみながら、これからの予定を考えます。あれ、それより左ミラーがぐらぐらぐりとぐらになっているぞ。根元を留めるボルトが緩んじゃった。カバーを外すときにミラーの根元を回しちゃったんだ。
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ちょっと安全に停められる所ないなあ。それにお土産も買いたいし。栃尾の交差点を左折せず、直進して道の駅奥飛騨温泉郷上宝へ立ち寄ろう。
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ツールケースの初の出番。車両のキーで蓋を開けます。
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TONEの1/4インチソケットセットで8㎜六角ボルトを増し締めします。
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修理が済んだらお土産を買います。会社と家族と、それと山の中で出したクイズに正解したライダーたちに。(このクイズは日を改めてここに出します。)
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天気の具合を見ると、なんていうこと!南関東を猛烈な雨雲が通過する予報が出ているではありませんか。しかも私の帰宅予定時間帯です。念入りに雨雲レーダーを観察して、雨に遭わずに済むコース、時間どりを考えます。

とにかくここは早めに出発した方がよさそう。おいしい水を詰めて出発します。
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道の駅風穴の里に再び立ち寄り、もう一度食事をしました。お腹が空いてしまったのです。やはりカロリー不足はラーメン一杯では補えなかったのですね。いただいたのは鹿のカツ丼です。鹿肉は食べたことも調理したこともありますが、カツになっているのは初めてです。歯ごたえはやや強めで味はさっぱり系、これなかなかおいしかったですね。
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松本から高速に乗り、長野道を北上します。そして上信越道へ。佐久平PAへ立ち寄りました。こっちはまだ晴れているけど、東京はどうなんだろう?
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「こっちはまだ降っていないけど、黒い雲が西から来ているよ。」
と娘からラインが来ていました。そして下のスクリーンショットを送ってくれました。
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ゲロゲロ、これは酷い。雨雲レーダーを確認しながら行程を考えます。19時15分以降なら川越付近までは大丈夫だな。

それでは走りましょう。走り出してすぐ、通行止め情報が高速の電光板に流れてきました。
「外環道大泉から和光の間雨の為通行止め」
なんだと、そんなに降っているのか。一旦次の横川SAに入り、情報の確認をします。通行止めの期間はわかりません。再び雨雲レーダーで確認し、さらに時間を遅くすることにしてみました。
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しばらく時間をつぶしましたが、一向に通行止めは解除されずそれならと圏央道を通って東北道経由で外環道へ出ることにしました。幸い渋滞はなく、スムーズに走れました。

そしてぬれた路面の上は走りましたが雨に遭うことはなく、濡れないままに21時少し過ぎに自宅到着しました。

荷物を下ろし、着替えます。こっちは暑いなあ。防寒着着てストーブにあたっていた昨日が懐かしい!

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2024年7月30日

今日はここ三俣山荘から双六小屋までの移動だけなので、時間的にはかなり余裕があります。天候が安定している時にテント撤収をしたいし、できれば双六でも降雨のない時にテント設営をしたいところです。しかし携帯は圏外です。

猛烈な雨がテントを叩き、到底外に出る気になりません。せめて傘で何とかなるくらいになったら山小屋に行きましょう。

6時40分頃、一旦雨は霧雨になりました。今のうちです。傘をさして小屋まで行きました。まずはトイレへ。ついでに三俣山荘で天気の相談をしました。小屋の職員はスマホで調べてくれました。
「7時から本格的に降ってきます。それが通り過ぎたら一旦止みそうですが、その後も降ってきますね。でもこれから降ることに比べればまあ、ましでしょうか。」

画面を見せていただき、なるほど7時から9時の間くらいに3県境を雨雲が通過します。それなら、それが過ぎてからテントを撤収しましょう。しかし携帯ガンガン電波入っていますね。衛星ですか?
「ここ、ソフトバンクなら入るんですよ。お客さんのドコモですか?ドコモはダメみたいです。もっと上の方に行けば入るところもあるみたいですが。」

がーん。そんなことになっていたとは。しかし、山岳地帯では携帯電話が使えるかどうかは遭難するかどうかの問題に直結します。せめて大手3社だけでも山岳地帯相互乗り入れしてもらえないでしょうか。

時間つぶしはこの書架がありますからまったく苦になりません。
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この環境ではこれが一番です。
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7時を少し過ぎた頃、窓を風が叩き始めました。そして大粒の雨が真横に飛んでいきます。ハイマツはちぎれそうなほどたなびいています。
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天気の相談してよかった。下手すりゃこの中でテント撤収していたよ。1時間ほどロビーで過ごしていたら、清掃の為喫茶室へ移動するようにと言われました。カフェは8時30分からですので、まだ30分ほどあります。

喫茶室の窓も強風でがたがたと音を立てていました。これ本当に止むのかな。1巻を読み終え、2巻目を読み始めました。この風の中、俺のテント立っているかなあ。モノポールだからペグが抜けたり張り綱を引っ張っている石が動いたりしたらぺちゃんこ、下手すりゃ遥かなる彼方へ行っちゃってるんじゃないか。

喫茶室は満員です。これ無料で使わせてもらったら問題だな。自分で担いだもの以外は口にしないという鉄則より常識が優先されるべき所でしょう。8時30分になるや否やケーキを注文しました。これで一応はここで過ごすことに問題はなくなったわけです。
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おいしくケーキを頂いたら、雨雲レーダーでは雨雲が切れる時刻になってきます。そろそろ覚悟を決めて外に出ますか。

いやまて、明日ここから一気に下山するという手もあるぜ。2日目には登りでここまで来たんだからさ。正直、小屋から出たくないという気持ちが湧いてきてしまいました。でも明日は降りて寝るのではないのです。そこから自宅まで300㎞を超えるライディングがあるのです。退職していたら、迷わず連泊なんだけどな。もっとも、双六小屋のテント場はこの時期予約制で今日予約していたから明日にするとちょっと気まずいというのはありますけどね。

合羽はテントの中、失敗したなあ。持ってきてここで着ればよかった。まあいいか、覚悟を決めて外に出ます。

風は強いものの、雨は霧雨程度でほとんど心配はいりませんでした。そしてテントも無事にそのまま立っていました。合羽を着こみ、ザックを出したらテントを撤収します。
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10分ほどでパッキング終了。普段は使わないトレッキングポールを出しました。風であおられたときに支えがあった方が良いと思ったのです。

さあ出発だ。9時06分、三俣山荘キャンプ場出発。
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雨は先ほどのひどさを考えれば十分と言っていいほど収まっていました。まずは三俣蓮華岳を登ります。
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岩の上を水が流れてきます。
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そして窪んだところは水たまりに。ここ歩くしかないのか、長靴じゃないんだぞ。
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この過酷な環境に良く順応していますね、高山植物は。本当に感心してしまいます。
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これだけ水で痛めつけても水が入ってこないローバーの登山靴。さすがです。中は乾いた状態が続いています。
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9時57分、三俣蓮華岳山頂方面と巻道の分岐通過。
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ここからはしばらく下りです。慎重に下っていきます。
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これ本当に登山道か?沢に迷い込んだのでは、と真剣に考えてしまうほどの水量で、緑のロープや排水の溝が出てくると迷っていなかったことを確認できる感じです。
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風雨の北アルプスには楽しみなんてない!ことはありません。このようにライチョウがおでむかえしてくれました。しかもこのヒト、子育て中で、写真に収めることはできませんでしたが雛2羽がそばにいました。
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一昨日通過した時には水なんて全くなかったのに、今はこの有様です。
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すれ違う人と情報交換、そして
「今日は絶好の登山日和ですね。」
「この天気に登るなんて、これぞ山の醍醐味。」
などと言葉を交わしては大笑い。この天気も悪いことばかりではありません。

「この先の岩場の登りは滝のようになっています。気を付けてください。」
と言われました。そうだったよね、崖のような部分の通過があったんだよね。
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そう、ここここ。げ、本当にもう滝じゃん。
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崖を登り切ったら巻道の半分を超えたことになります。後は登り調子だし、もう大丈夫でしょう。
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いやそんなことはなかったです。川底を歩くような道になっています。
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ここを越えれば稜線に出られるよ。あれ、靴の中なんか染みて来た。
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11時30分、稜線に出ました。靴の中はびっしょりになってしまいました。
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後はここを下るだけ。双六小屋が霞の中に見えています。
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11時42分、双六小屋に到着しました。さあテント泊の手続きをしてきましょう。ん、テント張るの?この天気の中で???
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受付でテント場の予約をしていた者ですが、もし小屋に余裕があるなら素泊まりに切り替えられますか、と尋ねました。すると、今日はまだ余裕があるので大丈夫です、とのこと。

ラッキー!
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この小屋は雑魚寝ではないのでそれなりに過ごしやすそうです。ただ、私の下に入った方は大きな声で絶えず独り言をいう癖があり、少し不快な思いをいたしました。山小屋はこれがあるんだよな。
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こちらも携帯は圏外でした。しかし、600円で24時間のWi-Fiが使えるサービスがあり、早速手続きをしました。ちなみにAUなら無料でそのサービスが使えます。

濡れた衣類を乾燥室へ、合羽やザックカバーは雨具乾燥室へ。そして食堂で持ち込みの昼食を食べました。雨天の中ザックを開けることができなかったので摂取したのはハイドレーションの水のみで、休憩も一回も取らず何も食べていなかったのです。

食後やごろ寝をします。しかし自室ベッドではWi-Fiが届かないので談話室に居場所を作りました。ここはストーブが焚かれてとても暖かでした。暇つぶしに家族友人親戚にラインを送ります。また天気の予報と明日の帰りのモーターサイクルでの行程の検討をしました。渋滞を考えると中央道周りより50㎞ほど遠回りになる上信越道周りが良いみたいです。

夕食は火器類の使用はできないものの、ポットでお湯がいただけるので十分調理できました。
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外は大粒の雨が何度も降ってきていましたが、山小屋の中にいる限り何も感じることはなく快適にぬくぬくと過ごすことができました。

明日は最終日、最後くらい御来光を見たいものです。

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2024年7月29日

夜間まで降雨がありましたがいつしかテントを叩く雨音は止み、周りのテント内からごそごそする音が聞こえてきた3時30分起床、出発準備します。今日の前半は軽身での行動なのでメインザックからアタックザックを分離し、こちらだけを使用します。雨と結露で濡れたテントなどはそのまま残していき、乾燥してから収納しようという寸法なのです。

テント場から山荘に向かうと、おお、鷲羽岳が間近に見えているではありませんか。昨日はガスと雨で何も見えていなかったのです。
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トイレを借りるなどして準備が整い、ヘッドランプもいらなくなった4時36分行動開始しました。道はしっかりしているし、ザックは軽いしペースよく登れます。しかし風が強く、寒さを感じるので防寒着を着た上にさらに合羽を着ています。

振り返れば三俣山荘が、そしてその向こうに三俣蓮華岳がそびえています。
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ただ、遠景はガスが多いなあ。槍ヶ岳はもうちょっと、穂高連峰は絶望的です。いや、山頂に着くまでにはまだ時間かかるから、もしかしたらその間に好転するかも。
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もうちょっとで山頂だよ。ファイナルアプローチ。
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5時44分、2924m鷲羽岳登頂!
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ガスは晴れ、槍の穂先は見えています。いや、その先の穂高もほとんど全部見えています。
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穂高の先には焼岳、乗鞍が。そうだ、山のMochiさんにライン送ろう。
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パノラマで。
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南側にはこれから通過するワリモ岳が。

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30分ほど誰もいない山頂で過ごし、6時15分鷲羽岳を後にします。

ワリモ岳を登っている最中に後ろを見ると鷲羽岳が見えます。登頂には最低1泊は必要な奥地ですが、その場所が何しろここですから、この山ならではの眺望が楽しめました。
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ワリモ岳もなかなかハードな岩場が続きますが、危険を感じる部分はなかったです。また登山道は山頂は通過せずに巻いてしまうので、いつの間にか通過してしまいました。
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水晶岳がずいぶんと近くに見えてきました。えらくごつごつしています。
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6時58分、ワリモ北分岐通過。ここを右に曲がります。
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7時34分水晶小屋に来ました。ここを左に曲がります。
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水晶小屋のヘリポートでは荷揚げ、荷下ろしの準備をしていました。
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今日、結構な強風ですがヘリは飛べるのですか?
「はい、飛べるそうです。」
今風速は何メートルくらいですか?
「自作の吹き流しですがまあ10mくらいでしょうか。」

ごつごつの岩山に見えた水晶岳ですが、想像以上に歩きやすい道でした。いやこの先でしょう、岩場になるのは。
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ほら、思った通りだ。
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しかし、ルートは北側を巻いていて水晶小屋の方角から見るよりはずっと歩きやすく安全に通過できました。
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あの梯子をあがるともうすぐじゃないかな?
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ああ、ここでガスが出てきちゃったよ。さっきまであんなにはっきり山頂が見えていたのに。鷲羽岳でぐずぐずしすぎたかなあ。
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8時14分、水晶岳登頂。視界ゼロ、ガスの中です。
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しばらくガスが晴れるのを待ちましょう。風が強く、寒さを感じたので岩陰に体を隠しました。レーションを口に入れていると若者が一人、登ってきました。こんにちは。

「こんにちは。ガスが濃いですね。どちらから登りましたか。」
新穂高から入山し、今日は三俣山荘発で鷲羽岳経由してここまで来ました。
「自分は高天ヶ原から来ました。

霧が晴れるまで、この若者と山の話で盛り上がりました。

「あの山は何ですか?」
あれは薬師岳ですね。あそこから左に降りたところが太郎平、そこから黒部渓谷を越えた手前が雲の平ら。ほら、赤い屋根の山小屋が見えるでしょう。あれが雲の平山荘です。
「なるほど、あそこか。あそこも1泊は泊まってみたいんですよね。」
せっかく行くなら1泊じゃもったいないかも。なん泊かしないと回り切れないし、天候に恵まれるとは限らないし。

やがてガスが晴れてきました。二人で山座同定を楽しみました。

8時45分、二人ほぼ同時に山頂を出発。ガスは再び上がってきました。
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水晶小屋は見えますが、その先の山々はガスの中。

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まずは着た道を、ワリモ北分岐まで。
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9時43分ワリモ北分岐通過。
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水晶岳とは全く趣の違う光景が広がっています。右の山は祖父岳。その向こうは雲の平です。
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9時47分岩苔乗越通過。このあたりドコモの電波が入ったので、ラインを送ったり天気予報を見たり。あれれ、明日はよくないなあ。よくないどころじゃないぞ、大荒れの天気っぽい。どうしようかな。
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黒部川源流に向かって谷を降りていきます。三俣蓮華岳の優雅な姿がとても印象的です。
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しかしこの道、なかなか油断できません。沢沿いで岩がごろごろしていて歩きにくく、下りでもペースが上がりません。
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木道も濡れていて滑りやすくなっています。
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スノーブリッジが割れていますね。
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沢の渡渉点がいくつかありました。増水時には危険でしょうね。
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祖父岳からの道と合流しました。ここからは三俣山荘まで登りです。
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登ってすぐ、黒部川源流の碑がありました。
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三俣蓮華岳と鷲羽岳の鞍部に三俣山荘はあるので姿は見えなくても大体あの辺というのはわかります。
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鷲羽岳はこちらから見ると鷲には見えませんね。
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トリカブトが群生していました。
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ここを登りつめれば
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11時27分三俣山荘に到着です。計画通りの到着、ここで30分でテント撤収、コースタイム2時間で黒部五郎小屋なのです。
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でも、天気予報に不安が。そこで受付で明日の天気の確認をしました。やはりかなり荒れる予報とのこと。風も強くなる見込み。うーん仕方がないなあ。この調子ではどうせ明日黒部五郎には登れないし、いっちゃうと稜線を歩かないと双六小屋に戻れないので今日は黒部五郎小屋に行くのはあきらめることにしました。三俣山荘で連泊の手続きをしました。

移動しないと分かれば天気が良いうちに濡れ物を干しておきましょう。それでもまだ午前中、昼寝をするにはマットがないし。日陰で休みました。情報を得ようにもドコモ携帯は圏外です。
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ほどほどの所で撤収、ようやく昼寝ができました。

今日の夕食はマイタケご飯と肉じゃがです。みそ汁の焼きナスはフリーズドライとは思えないほどちゃんと茄子でした。
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2024年7月28日

起床は3時30分。降る雨がテントをたたく音でアラームが鳴る前には目が覚めていて、寝袋の中で鳴るのを待っていた状態でした。
起きたら朝食のパンを口に入れ、もぐもぐしながら寝具を片付けます。片付け終わったらパッキング、そして最後にテントを畳んでビニール袋に入れてからザックの一番上に入れます。

雨はやんでいるので合羽は着ないで済みました。まずはワサビ平小屋のトイレを借りて、そし4時20分出発。予定よりやや早い出発だったのでヘッドランプを点灯させました。明るくなってからとも思ったのですが、最初は林道なので問題ないでしょう。
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歩き始めて10分ほどで雨が降ってきました。やはりだめか。まずはザックを下ろして合羽を着なければ。でも今日はもともと天気予報でも午前中は雨だったし、それに今日は三俣小屋まで一気に登るだけなので天気が少々悪くてもそれほど気になりません。明日、明後日が良ければね。

十分明るくなる4時50分ころ小池新道入口に到着しました。
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登山道は濡れているはドロドロだわでペースが上がらず、そして沢にかかる橋も濡れていて滑りそうです。
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雨は降ったり止んだりを繰り返しますが、ガスは常にあり景色はあまりよくありません。
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それでも下を見ると、おお、もう結構高度を稼いできているんだな、と感じることができました。
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上に行けば行くほどガスが濃い感じがしますが、雨の止んでいる時間はずいぶん長くなってきました。これなら眺望はあきらめがつくとしても北アルプスらしい雰囲気は楽しめるかも。
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5時53分秩父沢通過。
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元の水量がわからないので増水しているのかどうかは分かりませんが、渡るのに危険は感じません。
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いくつかの沢を越えていきます。これが増水していたら引き返す以外手はないだろうなあ。何とか小雨で済んでよかったよかった。
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6時10分チボ岩通過。チボってなんでしょうか。
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6時23分、下枯れ沢を通過したところで最初の一本を取りました。
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水はハイドレーションで随時行動中に摂取しているので、カロリー補給のみですがここは携帯の電波が通じるので天気についてのリサーチなどを行いました。あれれ、どうも悪い方へと予報が変化してきていますね。

再び歩き出します。後ろからくる若いカップルに道を譲ります。
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6時57分上枯れ沢通過。
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7時23分、シシウドヶ原通過。ここで先ほど追い越させたカップルが休憩していたので先行します。
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急傾斜はシシウドヶ原まで、その後は傾斜は緩やかになりました。また、高山植物が目に付くようになってきました。これはオニユリでしょうか?
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若者パーティーが追いついてきました。先行させます。
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ここはクマの踊り場、人数がいれば被害に遭う可能性は少なくなる?クマさん、今日は出てこないでね。
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シシウドヶ原で追い越したカップルが再び追いついてきたので追い越してもらいました。鏡平まであと500m!
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あと5分!
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そして、ついに鏡平に到着!時刻は8時27分でした。
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ザックを下ろし、鏡池の逆さ槍を楽しみましょう。でも、というより、だよね、ガスの中の槍は映り込んだりするはずもありません。

ガスの映る鏡池をいつまでも見たいわけもなく、8時30分には出発しました。

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ここからは森林限界を超えてくるので、もし太陽がギラギラだったら相当暑くなるはずですがその心配は今日はなく、風が吹くとむしろ寒さを感じるほどでした。しかしここの急傾斜はなかなかに手ごわく、体力を消耗させます。
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9時28分、弓折乗越到着。ガスの中の弓折岳にわざわざ上るまでまでもなく、ここでちょっと休憩しましょう。
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9時51分、弓折乗越出発。ここからはもうきついのぼりはなく、緩やかなアップダウンを繰り返すようになります。また景色もいかにも高山という風情が感じられるようになってきました。
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雪渓の通過もあります。軽アイゼンは持ってきていますが、わざわざ出すほどでもなくここをそのまま通過しました。
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ガスが一層濃くなってきています。道迷いには注意が必要ですね。こんな何でもないところでも、慎重にルートを外れないようにしていなければ大きな事故につながってしまいます。
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お花畑はもしかして最盛期だったのでしょうか、これでもかとどこまでも続いていました。
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ガスが晴れました。あ、もうそこ双六小屋じゃん。
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10時54分双六小屋到着。結構疲労感があります。ちょっと休憩します。
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ほどほど休んだ11時01分出発。ここから双六岳巻道分岐まではこれがまた急傾斜なのです。振り返ると双六小屋が見えます。心拍数の上限を超えないように、負荷を調整するためペースを落として何とか登っていきます。


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11時25分、巻道分岐に到着。ほぼコースタイム通りに歩けているのですが、ずいぶん長く感じました。

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ここからは巻道なのでもう楽勝でしょう。眺望は稜線を行くコースの方が良いでしょうが、巻道は雰囲気ではこちらならではの物もあり、双六岳を楽しむならやはりどちらも通過しないといけませんね。稜線の道は明後日のお楽しみにしてあります。

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セルフシャッターで。
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げげげ、巻道となめていたなあ。結構激しい下りがあるではないですか。この下の段差は岩の壁になっていました。垂直ではないのが救いです。
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12時10分、巻道の真ん中よりちょっと手前で休憩しました。たまには顔出しするか。
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20分ほど休憩して、再び歩き出します。あの尾根を越えれば三俣蓮華岳が見えるかな?

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いや見えないね。ここを登り切ったらさすがに見えるだろう。え、ガスで見えないじゃん。
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13時30分、三俣蓮華岳山頂分岐点通過。三俣山荘まで、後は下りだけ!
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そのくだりが結構激しいのです。疲労がたまってきている脚に堪えます。
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三俣山荘のテント場へ到着。
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13時58分、三俣山荘到着。幕営の申し込みをして頃合いの場所にテントを張りました。
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残念ながら携帯は圏外なので情報収集はできず、明日の天気は晴れと信じるほかありません。荷物を整理しているうちに軽い頭痛に襲われました。高山病なのか、あるいは限界を超えた行動だったので片頭痛が出たのか、とにかく少し昼寝をしてやりすごしましょう。

頭痛は軽快しませんでしたが、夕刻には夕食を準備しました。片頭痛だと嘔吐する可能性もあるのでご飯は避け、消化に良い白がゆにしました。
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夕食を食べ終わる頃になって到着、テントを張りだすガイド率いるツアー登山者たちの声が響いてきました。より近くにテントを張って休まれている人もいることなので黙っていましたが、ツアー客たちは結局21時40分までおしゃべりが止まらず正直迷惑でした。

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2024年7月27日

4時30分起床のつもりがやや早めに目が覚め、出発予定時刻の5分ほど前の同55分にはV-STROM650のエンジンを始動できました。

昨年も今回同様の新穂高温泉登山者用駐車場に車両を停めたのですが、前日に松本入りしてビジネスホテルに宿泊しました。しかし、今回は勤務の都合で土曜日が夏休みの始まりとなったことで高速料金が割引になり、さらに2輪定率割引も使えることからちょっときつさも感じながらも安さに負けて当日早朝発にしてしまいました。

渋滞はなく、首都高速都心環状線経由で中央道に入り、そしてその後も流れよく走れたので距離をうんと稼ぐことができました。

最初の休憩は丁度お腹がすいてきた釈迦堂PAにしました。
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今回サイドケースは使わず、サイドバッグにしました。それは駐車スペースが十分とれない可能性があり、幅を縮めることができるバッグにその優位性を認めてこの選択にしました。トップケースはヘルメットを雨霧や結露から守ることができるし、駐車スペースを大きくすることがほとんどないので装着してきました。

釈迦堂PAで朝食をいただきました。メニューは妻の買っておいてくれたスナックサンドです。
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このPAには博物館が併設されているのですが、朝早すぎて開館前だったので残念、素通りせざるを得ませんでした。
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釈迦堂からは一気に松本まで走り、そこから一路新穂高温泉を目指します。午後からはちょっと天気が心配な予報でしたので、早めに現地入りしておいた方が良いという判断をしていました。

しかし、朝食がスナックサンドだけというのはさすがにカロリー不足だったようです。道の駅風穴の里に立ち寄り、十割蕎麦をいただくことにしました。
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ここで食べておかないと、中3日間はすべて自分が背負っていくものだけになりますからね。さすがにおいしいそばでした。
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風穴の里を後にしたら、極上のワインディングを堪能しながらモーターサイクルを走らせて新穂高温泉登山者駐車場に車両を入れます。無料駐車場なのですが誘導員がいました。オートバイは2輪駐車場へ、というので教えられたそこへ行くと3台停まっていてすでにいっぱいです。困ったな。枠から半分くらい飛び出してしまいましたが、隅っこの方の邪魔にならない部分に入れて登山の準備をしました。
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それでは登山開始です。12時20分でした。
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まずは登山届を提出します。自宅で書いて来ているのでポストに入れるだけです。
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あれあれ、雲が激しく湧いていますね。これはくるな。
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ゲートにも登山届ポストがありました。
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降る前に何とかテント場へ、と思っていたのですが、予報よりも私の予想よりもずっと早くに雨が降ってきてしまいました。合羽では暑いので傘で対応します。そういえば去年もここで同じ展開でしたね。
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同じような人もいるものです。そしてこの橋を渡るともう今日の行程の半分を過ぎたことになります。
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送迎バス走らせれば結構いい稼ぎになると思うんだけどな。でも林道歩きもここのはそんなに嫌いではありません。
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笠新道入口です。昨年はここから登り、ここへ下山しましたね。
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そして雨が霧雨になる頃本日のテント場、わさび平に到着しました。13時45分でした。
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受付をしてテントを張ります。
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雨は止んできたので傘を干したりしました。そしてちょっと横になりました。この山で無為に過ごす時間がたまらなくいいのです。
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そろそろ夕食にしましょう。初日はコースタイムで1時間20分ほど、そして全部が林道歩きですから少々重くても栄養がありおいしいものを用意しました。
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明日からの天気が気になります。残念ながらドコモの携帯は圏外になっていて情報を集められません。19時ころ就寝しました。

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