シーカヤックは、台風との折り合いを付けなければならない遊びなのです。彼女が遠くにあっても、うねりは驚くほど遠くへ届いてしまうのです。またまた、台風発生の情報を得てしまいました。
さて、私のグリーンランダーは修理が完了し、出動の掛け声を待って物置小屋の中です。修理の過程を紹介します。
ガンネルの修理から。
リベットの出来頭をやすりで落とし、抜きます。
リベットにはカラーがかませてあるので、それを抜いて接着剤で補修したガンネルに打ち込みます。せっかく接着したガンネルが剥離しないかと心配もありましたが、全く問題なしでした。
リベットは使用不能、新しい物は用意できませんでしたので、代わりにネジで代用します。頭部が薄いのだそうで、 俺にぴったりです 船体布に傷を付けたくないガンネルにぴったりです。元のリベットの出来頭より薄いくらいです。3㎜φ、30㎜で、径も長さもピッタリでした。
ファスナーはウエストポーチから頂いた物を入れて、エンドを縫い付ければ完璧です。
ウエストポーチはこうなりました。やや不便ですが、使えないというほどではありません。上に置いてあるスライダーがグリーンランダーへ供出したものです。これもエンドを縫って元に戻しました。
ビルジスポンジは結局、6枚もジェーソンスポンジを使う豪華版になりました。破れた洗濯ネットをいただき、隙間のできないように仕上げるとこんな感じで、使い勝手も良さそうです。モンベルの専用品といい勝負でしょう。(本当か?)黒いひもは100円のパスケースについていた、無駄に長いひもの一部戴きました。
さて、このまま組むとまたファスナーに負担をかけてしまいます。スライダーがひっかかり、生地に引き釣りができてしまうのはスターンエッジの部分です。ここの高さを低くすれば解決するでしょう。まな板のような材質ですので、やすり掛けしてみました。もし、削って不都合ができたら、まな板から作ればいいのです。
2㎜程の切削ですが、効果覿面(てきめん)、ファスナーはスムーズに通るようになりました。
最初からこうしておけばよかったな。そうすればファスナー交換せずに済んだのに。
グリーンランダーの組み立て手順を詳しく、という声がありましたので、ここで紹介します。リブは前から1番、最も後ろが9番と表記しました。チャインは上が1番、下を2番と表現しています。
1 骨組み組み立て(5分程度)
①バウのリブ1番と2番、スターンのリブ8番と9番を90度回してガンネルのフックをひっかけて留めます。
②ガンネルと、2番チャインを持って開きます。1番チャインは自動的に開かれます。(説明書では、そう書かれています。オートマティカリーと表現。)
③赤二本線のキールをバウへ、青一本線のキールをスターンへ接続します。下から斜めに差し込み、平らにすると金具の穴からピンが出て来ます。それほどしっかりした接続ではありませんが、船体布に入れてテンションかければ外れる心配は皆無です。デッキの中央はフック金具で固定します。
④3番リブと、7番リブを90度回し、ガンネルのフックをひっかけて固定します。
⑤バウと、スターンを接続します。キールは同じく下から差し込み、平らにします。チャインとガンネルは内側にしならせ、金具に差し込みます。(かつて船体布の中で組み立てていた名残のような構造です。)
⑥4番、6番リブを90度回し、ガンネルのフックで固定します。前後をくっつける前にこれをやってしまうと、ガンネルとチャインを十分にしならせることができなくなります。
⑦5番リブをキールの金具に差し込み、穴の狭い方へずらし、金具で抜け止めをします。ガンネルはフックで固定します。
⑧ストラップをキールのネジにかけます。この作業でチャインが定位置に収まります。
骨組みは完了です。あとは艤装品を装着します。組み立て時間でいえば、オプショナルタイムとなります。
私の場合、ラダーペダルの設置、浮力体(エアバッグ)の設置をします。
2 船体布へ挿入 ここで5分くらい
①骨組みを横に倒して、船体布に差し込みます。そして骨組みを立てて、ぐいぐいと船体布の中へ入れて行きます。
②スターンのストラップを持って、脚や腹を使って渾身の力で骨組みを船体布の中にすべて収めます。
③ファスナーを少しだけ閉めて、スターンエッジを押し込んでも骨組みが浮き上がらないようにします。
④スターンエッジをセット。ハンドルを握ってグイッと引き上げ、エッジは足を使って踏み込みます。ストッパーがピン!と入れば完了。
⑤2重のファスナーを両方閉めます。
3 コーミングなどのセット 5分くらい
①コーミングをセットします。5番リブの頭のネジをコーミングの金具にかませてスライドし、コーミング前後はネジで骨組みに固定します。
②コーミングの溝に船体布を差し込みます。センターがずれていると、この作業が都中でできなくなり、船体布差し込みからやり直しになります。それを避けるために、マジックで底にキールの位置を記しています。
③シートの設置。座面と左右は空気を入れ、ストラップをリブに回して固定します。背もたれは1番チャインについている背もたれ金具に背もたれを差し込み、上をストラップで5番リブを支点に引っ張ります。
④左右のエアチューブに空気を入れます。
ここからはオプショナルタイム。
ラダーワイヤーをかけて、調節。
コーミングにシーソックを取り付け。
フォアデッキにコンパス、マップケース、デッキバッグ、予備パドルの取り付け。
アフトデッキにビルジポンプ、再上艇用のパドルフロートを積載。
スターンコンパートメントに食料や非常装備などの荷物を防水バッグに入れて積載。シート脇にビルジスポンジを設置。
こんな感じで完成となります。空組(ただ組むだけ、漕行する装備は無視)なら15分も可能ですが、普通で40分程度かかります。
この艇の欠点は数多くあります。
折りたたんだ骨組が長すぎる。ザック一つに収まらない。→根性で解決
重量が重い。→根性で、
漕ぎも重い。シーカヤックとしては、速度が遅い方。→これも根性で、
ラダーが古いタイプで、ペダルに至っては使い物にならない。→ラダーワイヤー以外自作して解決
スカートが1万円もするのに、ごわごわの生地で使いにくい。→モンベルのLが何とかはまる
たたんだ状態で、ガンネルのフック固定ネジがリブの塗装を削る。→コルクのステッカーを貼って対応、傷ついたら早めにニスで補修。
他にも問題はあるかな~。すると、じゃあ、だめな艇なんでしょう?とかいう短絡思考の方も出て来そうですが、いいところもいっぱいあるのです。
波の中で安定性が高い。沈する気配さえない。これは海で遊ぶ上で大切な、安全を優先している人には最適な性能でしょう。
引きずりに強い、分厚い艇底。ヘビーハイパロンはやすやすと穴を開けたりしないのです。
気品のあるデザイン。まあ、これは好き好きかな?
安い価格。ゆえに、私の所にあるのです。ちなみに、ラダー、スカートもセットで150,000円くらいだったかな?
最高の艇ではないかもしれませんが、重くても、嵩張っても、頑張れば電車に乗せられます。事実、これで何回も電車やバスで海や湖へ行っています。そして、改造を施して私に合った艇に成長しています。
パフォーマンス自体はかなり高く、外洋を航行することもできる能力も秘めているそうです。この艇の前モデルは、ジョン=ダウド氏著、シーカヤッッキングにも、「フォールディングタイプとしては例外的な、本格的なシーカヤック」と分類されています。(うろ覚え、後で訂正を入れるかも)
おひとつ、いかがでしょう?
うちのはスキンの中でフレームを組み立てるタイプなのでうまくセンターが出ないと何度もやり直しになってウンザリします。それが嫌で若干遠退いていたりします。
古い記事にばかりコメントしてすみません。
最近はカヤックをされていないのかな?