今日は下山の日です。せっかくだからゆっくりと山頂で過ごしてから帰りたかったのですが、息子のSOS発進に応えなければならないのでほどほどで帰らざるを得ません。いつもこれです。大相撲観戦も(しかも白鳳が阿炎に負けてしまう取り組みの日でした!)早退させられたのもこいつのせいでしたね。親の務めは厳しいのです。

いきなり下るのはさすがに何なので、第一白樺荘がやっていなくては風呂に入れないし、まずはご来光を見に茶臼岳山頂へ行きましょう。テン場へ戻ったらすぐに出発できるように、すべて撤収してザックへのパッキングを終えておきました。

4時10分、稜線に向けて歩き出しました。もう空は薄明るく、富士山はシルエットになって浮かび上がっていました。さあ、どんな朝になるのでしょうか。
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茶臼岳の頂上に到着です。日の出まで10分程度余裕があります。光小屋に明かりが灯り、空には消え残った星が数個瞬いていました。
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登頂記念に一枚。
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ご来光!残念ながら雲が多くてはっきりした太陽は見られませんでした。
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モルゲンロートもおあずけですね。でもこれはこれで、なかなか美しい景色ですよね。
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さようなら、茶臼岳。今度はいつ来られるかな。来月?まさかね。
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遠くに恵那山が浮いています。あの山でも「遊ぶ」と山行十話はより深く理解できるのです。
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静まり返っている木曽御嶽山を遠目に、分岐まで戻ってきました。ここで稜線とはお別れです。この寂しい感じは幾度となく味わってきましたが、今回は4日間の行動中の全てが晴れだったこともあり、むしろ強くは感じませんでした。

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それでも後ろ髪をひかれながら下ります。
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お花畑進むと小屋が見えてきました。
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テント場に戻ってきました。ザックはすでにパッキング済み、背負ったら一気に下るのです。5時23分、下山開始です。イメージ 7

歩き出してすぐ、先行する青年を認めます。あ、昨日の植生調査の彼だ。立ち止まっていたので前を行かせてもらいました。
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私が追い抜いたすぐ後に彼が続きます。どう考えても彼の方が早そうなので、道を譲って先に行ってもらいました。先には行きましたが、しかし彼は私の歩調に合わせてくれて一緒のペースで下ってくれました。
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山の話、研究の話、仕事の話、家族の話、趣味の話、ずっとおしゃべりしながら歩きました。

「カヌーもやっているんですか、乗りたいなあ。」
「機会があれば乗せてあげるよ。でも今は忙しいだろう。卒論がひと段落して、進路が定まって余裕が出来たら連絡ちょうだい。」
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6時20分、横窪沢小屋到着。ベンチを借りてここで休憩します。
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TJARって、なんだ?
「ああ、これは日本海から北アルプス、中央アルプス、そして南アルプスを縦走するトレイルランのイベントです。」

なんてこった、それだけ体力が余っている人がそんなにいるのか!これはその応援メッセージフラッグのようです。
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小屋番の方が私たちに気がついて、お茶を出してくださいました。感激です。
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その一方、とても気になる情報も下さいました。

「あなたたちも今歩いてきた、ここから200mくらい上なんだけど、昨日沢に転落して、70mくらい滑落しちゃった人が出てね。ヘリで救助されたけど、2,3日は入院になったみたい。運よく命には別条ないって話だけど、70mも滑落したら命を落としていても不思議じゃないからね。登りでは事故はほとんどないんだよ。下りは本当、気を付けてね。」

げげげ!おしゃべりしながら歩いてきた道でそんなことが発生していたとは!本当に、気を付けましょう。

お礼を言って、再び下り始めます。次の休憩は7時12分、ウソッコ沢小屋前です。
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水分を補給したら、再び下山。ここから下も気を抜けない所があるから、気を引き締めていきますよ。
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危険個所もなくはありませんが、沢と出会ったりとこのように涼しげで楽しく歩けるところも点在しているのがこのコースの魅力ですね。
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一号橋を渡ればヤレヤレ峠の登りです。置いて行ってもいいですよ、別パーティだし、若い力には到底ついていけないからさ。しかしこの彼、私の速度に合わせてくれました。なんか嬉しいですね。

7時55分、ヤレヤレ峠到着です。ここでオジサマ2名のパーティが休んでいました。調査の彼とは知り合いだったとのこと。聖平、聖岳で一緒で、写真を撮ってもらったりしたのだとか。

「あれ、二人ですか?」
「実はさ、一気に下るの避けて、横窪沢に昨日降りたんだよ。そうしたら、もう一人が崖から沢に転落しちゃってさ。濡れた落ち葉踏んで足滑らしちゃって。ヘリで運ばれたけど、幸いかすり傷程度だっていうけどさ。なにしろものすごい高さから滑落しちゃったからね。70mもあったって。」


そう、調査の彼が写真を撮ってもらった、まさにその方が滑落したというのです。なんていうことなのでしょう。山岳事故は本当に、他人事ではないのですね。
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ヤレヤレ峠から下って、畑薙大吊橋を渡ります。これを渡れば後は林道歩きでゴールとなります。
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8時52分、沼平ゲートに到着です。ここでアルピニストの私は終わり、モーターサイクリストになるのです。しかし、彼は白樺荘発のバスに乗るのでそこまで6㎞の歩きが続きます。乗せてあげたいのはやまやまだけど、車載の余裕もヘルメットの数も足りないので本当にごめんね。
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ザックを括り付けてブーツを履き替え、白樺荘へ到着しました。なぜか?彼はもうすでに着いていて、夏季駐車場からヒッチハイクしたのだそうです。やるもんだね。
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一緒に風呂に入り、久しぶりにお湯で戻したのではないごはん。私はヤマメ丼を食べました。ご飯い甘辛の汁が染みていておいしかったなあ。
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名著を追いかけて2-6に続く

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    今回は、三毛ジャガーさんの思いの外近い所で滑落事故がありましたか。命に別状無くて良かったです。
    山では割りに近い所でたまに事故を見ますよね、そのときはこちらも身が引き締まりますし、万一に備えて、最低でも持ち歩くべきものを手抜きしないことが大事だと何度も思い知らされてきましたが、三毛ジャガーさんも同感していると思います。 
    ヤマメ丼、そのものズバリ! ワイルドな感じが愉快ですね。 削除
    2018/7/28(土) 午後 10:30
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    > 山のmochiさん
    身近な滑落事故は仰るとおり、身が引き締まる思いがいたしました。実際に滑落したことはないので(雪山の滑落停止訓練とかは別にして)、本当のところは分からないし、道具を使うことなくオロクとなってしまう可能性も否定はできません。慎重に行動することが何より大切だと改めて感じました。

    ワイルドですね。想像したのとまるで違うのが着て驚きました。ヤマメをばらして玉ねぎで煮込んだようなのが出てくるのかと思っていました。

    名著を追いかけてシリーズ、第三弾はどこにしましょうか。 削除
    2018/7/28(土) 午後 11:38
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  • 晴れがずっと続いたのは人徳ですね‼️
    登山道から滑落、そんなことも本当にあるのですね。やはり山、奥に行けば行くほどいろいろ起きうるのですね。無事下山、お疲れ様です。 削除
    Breva750−kan
    2018/7/29(日) 午前 4:24
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    > Breva750-kanさん
    人徳かどうかは分かりませんが、いや、やはり人徳かな?そう思いましょう!

    滑落事故はありそうな道ではありますが。身近にあると身震いするような感覚を覚えます。慎重な行動を心がけようと改めて思いました。 削除
    2018/7/29(日) 午前 8:15
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