2018年07月21日
入山3日目、いよいよ聖岳登頂する日です。3時起床、朝食は牛丼でした。片付け、トイレを済ませます。トイレはきれいな水洗で、ここは40年前とは大違いでしょう。
朝4時3分、防寒着とヤッケを着こみ、サブザックを背負ってテントから出ます。山小屋は発電機を回し、周りも慌ただしく出発準備をしている気配を感じます。

4時40分過ぎ、恐らく日の出を迎えているであろう時刻です。残念ながら登山道からは日の出方向の視界が開けていないようで、空が明るくなりながらも太陽を見ることはできませんでした。樹林の中でもヘッドライトを消しています。

お花畑を通過。一面黄色く染め、短い高山の夏に全てをかけて、次世代を残す精一杯の努力をしているのでしょう。

遠くに富士山が見えてきました。あちらでも恐らく多くの人が山頂で日の出を見ていたことでしょう。

振り返れば赤い屋根が見えます。聖平小屋です。そして今日はあの南岳、そして上河内岳を通過して茶臼小屋まで行くのですが、結構きついんだよなあ。いやいや、今はそれを考えている時じゃない。その時に何とかすればよいのさ。

おっと、お出迎えご苦労様です。あなたも短い夏をお楽しみですね。

5時15分、小聖岳到着。ここで一息入れます。防寒着を脱いでビスケットを頬張りました。前方に見えるのはもちろん、聖岳です。昨年茶臼から見て、いつか登るぞと思った山ですが、11か月後にはここまで来ています。10分ほど休んで歩きだしました。さあ、もうちょっとだ。

先縦者はガレた岩場を通過しています。気を引き締めていきましょう。

写真で見るよりは安全に通過できる道でした。でも、万が一転んだりしたら、奈落の底へ一気に落っこちること請け合いです。

そんな厳しい環境でも健気に咲いています。チシマギキョウかな?

もう上が見えてきました。あそこが頂上で間違いないでしょう。空気が薄くなってきていますが、息は切れないようにペースを落として対応しています。

本当に絶滅危惧種なのでしょうか、ライチョウは頻繁に目にします。

ファイナルアプローチ!

6時20分、3018m、聖岳登頂!

東に目をやると、奥聖だけが見えています。ここより低いし、行く意味ないかな?

いや、ここからだと赤石岳が邪魔して荒川岳(悪沢岳)が見えないよ。奥聖行ってみましょう。

奥聖岳登頂!という感じがしないのは下って来る感じが強いからでしょうね。でもほら、荒川岳が見えるようになりましたよ。来年はあっちか?
ここで遭難対策本部の妻へメールを入れました。そうだ、赤石岳の写真も添付してやるか。なんだかわからないでしょうけどね。それと山行十話の筆者へもメールを入れて置きましょう。この山旅の計画はまさに、あの本からの発想で作ったものですから。

北アルプス槍穂連峰が良く見えていました。

南側をパノラマで。深南部はどこまでもどこまでも広がっている感じがしますね。

さて、前聖岳へ戻りますか。二つの聖岳の間も高山植物はびっしりと生えていました。

いつまでも景色を見ていたい気持ちもあるのですが、これからの行程を考えるとほどほどで切り上げた方がよさそうです。夕立に会う前にはテントの中へ居たいですからね。7時22分、下山開始します。

この辺りから沢音が始まっていました。遠山川水干でしょうか。

8時00分、小聖岳。空腹を感じたのでここで再びビスケット類を食べました。

高度を下げると南岳、上河内岳が高く見えるようになってきました。聖は軽身ですが、あちらは全てを背負って登らなければならないのです。きついだろうなあ。

聖平分岐まで降りてきました。

8時45分、聖平到着です。まだテントを張っているのは私を含め2張りだけになっていました。天気もいいし、シュラフやカバー、フットプリントなどを乾かしながら撤収しました。

9時25分、全てパッキングを終え、ザックを背負います。聖平の心地よい広場を通過します。そしていよいよここから南岳の登りに取り掛かります。

樹林の登りが始まりますが、最初は緩く、そして一旦下って再びゆるく登ります。

やがて道は急登になります。その代わり、景色は開けてくるのです。

振り返れば聖岳が奥聖を従えて見送ってくれていました。

急登を終えると、上が見えてきました。さあもう少し!

この上か?

想像通りきつかったですね。11時10分、南岳登頂しました。

でもまだまだ登りは続きます。次は上河内岳の肩を目指します。

高山植物は最盛期、カメラを向けるのに時間をとられてなかなか進めなくなってしまいます。いやいや、夕立が来るかもしれないんだぜ。

ここを上がれば上河内岳の肩です。上河内岳はどうしようかな。昨日登っているしな。それに東側から雲が強く湧いてきています。

11時59分、上河内岳の肩に到着。いやせっかく来たんだから、上河内岳も登っておきましょう。ザックをデポして空身で登ります。

昨日に続き、2803m上河内岳登頂!前聖岳は雲の中。

せっかく登ったけど、この雲行きで長居は禁物、早々に下りました。

聖平小屋が小さく見えていました。あそこから来たんだよな。よく歩いたよ、俺も。

東側からは続々と雲が湧きたちます。急げ急げ。

亀甲状土の庭にもガスが押し寄せてきています。

ガスに覆われる前に通過。この部分は特に印象に残りますね。昨年から都合4回通過しているのですが、またまた来たくなってしまう不思議な魅力があります。

最後の急登です。ここさえ越えればもうすぐ茶臼小屋分岐です。

13時27分、茶臼小屋分岐到着です。ここから300m下れば茶臼小屋です。

受付はセルフで、瓶に料金700円を入れる仕組みでした。テントを張って荷物を整理したら、テントの中で横になります。グダグダ過ごせるのも山の楽しみのうちです。

小腹が空いたのでキューピー玄米雑炊を作りました。

ひと段落したので、茶臼小屋周囲を散策します。その最中でした。地下足袋の青年を発見。声を掛けました。

「今時地下足袋とは、珍しいですね。いや私もかつては沢登の時には地下足袋にわらじという時代もあったのですが、わらじが手に入らなくなっちゃってから地下足袋で登山はしたことが無いなあ。」
「いや、僕も登山靴で登ってきています。植生の調査中なので、なるべく傷めないように地下足袋に履き替えているのです。」
「そうでしたか、高山植物に詳しいのでしょうね。色々教えてください。」
「植物も調査対象ではありますが、専門は昆虫なのであまり詳しくはありません。植物と昆虫のかかわり方について調査しているのでぜんぜん関わりが無いわけではないのですが。」
「蜂がぶんぶん飛んでいますが、種類によって集まる花が違いますか?」
「そうですね、例えばこのマルケバチ(記憶違いだったらごめんなさい)はトリカブトなんかに良く集まります。」

色々な話をしてくれて、大変に勉強になりました。現在大学4年生、論文のテーマに高山域における植生と昆虫の関わり調査の結果を選んでいるのだそうです。
さあ、明日は帰宅してすぐに息子の所へプリンタを持って行かなければなりません。早く休みましょう。早々に夕食を作り、19時前には就寝しました。

西側から入るのも西側から入るのもアプローチが長く、かなりの研究と山行日数の確保が必要でしょう。
2座踏むためだけなら、あの憎らしい畑薙からの東海パルプ林道を、マイクロに乗って奥に入ることで叶いますが、あのマイクロは山小屋の客になる必要があります。でも仕事が現役の人には必然の選択かも。
ボクの聖〈ボクも単独でした)は前聖付近から、やや遠い雷鳴と深いガス。今回の三毛ジャガーさんの写真素晴らしい、なんという晴れ男か! あと10歳若かったらご一緒したかったと思いましたよ。
便が島に至る西側から入る道は現在通行止めのようです。そうでなくても、いつ通行止めになるのかわからないので登っている間に通行止めなんて言いう目に遭うと困るので使用は控えました。
計画の段階では葦立高校山岳部の本来の計画通りと思われる椹島から赤石小屋へ入るルートを考えていたのですが、おっしゃる通り何しろあのマイクロバスですからなかなか難しく、結局山岳部本体の実施コースをたどる形に落ち着きました。
そんなわけもあり、私の中で今回の山旅は40年前の葦立高校山岳部とご一緒させていただきました。
もったいない!せっかく山へ行くなら、是非ご自身の足で登ってみてください。自然は寛大ではありませんが、厳しくも素晴らしさを垣間見せてくれると思います。
よろしかったら、ご一緒しましょう。
お誘いの言葉ありがとうございます。
日帰り登山で、時間を見て挑戦してみたいですね‼️
了解です。いつか、必ずご一緒しましょう。