2014年5月22日
朝目が覚めたらずいぶんすっきりした気分でした。他の方の迷惑にならないように、そっと本を取り出します。銀輪の覇者上巻も終わり、下巻へ手を伸ばします。
7時30分、朝食を摂りに食堂へ向かいます。ひじきの煮つけがありました。手術で血液を失っているでしょうから、鉄分の補給になるこの食材はいいですね。ドラマ「てっぱん」で、駅伝君が大家さんに体つくりのためにリクエストした食材でもあります。

食後に屋上へ出てみるときれいに晴れていました。松戸のニューオータニがよく見えます。

南の方を見れば、栗山浄水場のドームが見えました。中学生の時には、学校が終ってから自転車に乗ってここを通過し、里見公園へ行きました。あの頃のまま、変わらないのですね。

午前、午後の点滴と定期的な検温以外は特にやることもなく、かといって右には手術創を、左には留置針を持っているうえ、TVカードを買えない私にできることは本を読むことと、こっそり筋トレをすることくらいです。
10時、回診がありました。今日は執刀医のN先生です。
「ガーゼ取ってみましょう。傷口きれいですね。じゃあテープをはがしてみましょう。」
「!!!!!!!」
「一応消毒しておきましょうか。」
とピンセットで綿球を持ち、ポンポンポーン。
「!!!!!!!!!!!!!!!」
新しくテープを貼れば完了です。いくつか指示通りの動きをしてみました。
「全く問題なし。」
もうガーゼの養生もいらないということです。

昼食後に屋上へ出ればずいぶん雲が増えてきています。今夜は雨予報ですね。

銀輪の覇者は読み終えてしまいました。持参した本はこれだけなので、ロビーへ本を借りに行きます。とりあえず手にしたのが「へんな古代生物」という本です。そして読み終えたら次は「悪徳商法わざと引っかかってみました」。どちらも笑ってしまうことがあり、夜中に読んでいなくてよかったなあ。
妻からメールはあり、今日はこちらには来られないとのことでした。来てもらえるとうれしいですが、忙しい中なので申し訳ない気持ちにもなります。
その代わり、息子が来てくれました。今日で試験は終了したそうです。1時間以上も話し込んでいきました。

夜はやはりポッドキャストを聞きながら眠くなるのを待ち、静かに眠っていきました。
5月23日
5時ころ目が覚め、そっと起き出したらロビーへ行って本をあさります。ふと見つけたのが「世界の中心で愛を叫ぶ」です。病室へ持ち帰って読むと何と漫画の方でした。映画だかドラマだかで評判になっていたようですが、作品に触れるのは初めてです。あっという間に読み終わり、そしてこれを持ってきたことをちょっと後悔しました。内容は全然知らなかったのですが、とにかく暗い、、、、、。最近この手の若い人の死を身近に感じていたのでもう勘弁してください、という感じです。

朝食後は気を取り直して間違いのない本にしましょう。これならどうだ、で、松本清張の「ゼロの焦点」です。内容的には、行動や動機に疑問もないわけではありませんが、読み物としてはさすがに面白くて一気に読んでしまいました。
今日、明日は学会出席のために休診だそうで、会計は今日中にお願いしますと言われていました。事務から、請求書が来ました。思ったより安いですね。でも、もちろん保証金では不足しますので、銀行へ行く必要があります。ところが、看護師より、留置針を入れたままでは外出を許可できないと言われました。もし、管の盲栓が取れたら血液が吹き出してしまうから仕方がないでしょう。
最後の点滴は本日の19時、それが終了するとなると20時近く、16時で閉まってしまう事務に届けることができません。すると、思いがけない提案がありました。
「あと1回の点滴と、明日朝の採血の時に針を指すことを了承してくれれば今抜いちゃいますけど、どうですか。」
しかも、留置針さえなければシャワーも浴びられるというのです。ありがたい!
で、早速その場で抜いてもらい、まずはシャワー室へ行きます。シャワーはコイン式で、コインは特殊コインなのでナースステーションでもらいます。ついでに石鹸シャンプーも持ってきていなかったので購入しました。
シャワー室に入ったら驚きの指示が!だれかここで排便した人、いるんだろう!

手術創は濡らさないようにとの指示があり、頭を洗うのにずいぶん気を遣いました。しかも油がたっぷりで、何紙も洗わなければさっぱりしない感じでした。

シャワーが済んだらまずは昼食です。さっぱりした体なので、特においしく食べることができました。
歯磨きを済ませたら、いよいよ銀行へ行きます。ちょっとの時間でしたが、久しぶりの外出でしたので楽しかったですね。やはり私は家の中でじっとしているのは向かないんだなあ、と改めて感じました。

ゼロの焦点を読み終えたころ、また息子が面会に来てくれました。今日も1時間以上いました。

夜のためにロビーで本をあさりますと、井沢元彦の戦乱の日本史という本が目に留まりました。これにしますか。
しかし、正直あんまりおもしろい本ではありませんでした。筆者の思い込みが激しくて、「諸説あるが、事実はこれだ、これがその証拠」のような書き方なのですが、それだけがすべてでないでしょう、と思う部分がたくさん出てきます。
例を挙げれば「本能寺の変は明智光秀の独断であり、陰謀説は間違い」というのがあります。その根拠に上げているのが信長の長男、信忠のうちもらしを上げ、「信忠はたまたま死んだだけで、こいつを残しておいて織田家にとって代わる意思があるとは思えない」としています。そうかあ?だって、次男三男は生きていたけど、天下人としての織田家ではもはやなかったかけで、信長と信忠の人間力の違いを考えれば信忠は最初から眼中になかった可能性もあるのではないでしょうか。
それから中国大返しについて、高松城水攻めの最中だから密書を手にすることができたとあります。でも、数々の謀略が行きかう中、出所不明の密書を信じて「敵前逃亡」すれば信長の逆鱗に触れること間違いないわけです。しかももしその情報が嘘なら本人はこっちに向かってきているところ、よほどの自信がなければあんなことできませんよ。
「その時に人の気分になって考えればよい。」
といいますが、底の浅さにちょっとがっかりでした。読み進めてくるとますます話はおかしくなり、ついには9条を改正しないとテポドンが飛んでくるとまでいう始末。いやあ、あなた、攻撃なければ報復もないわけですよ。向こうが一方的に攻撃してくるというなら、現行憲法でも対応できるわけで、もはや被害妄想の精神疾患者としか思えなくなってきました。
でも暇に任せて最後までお付き合いして読んでしまいました。
5月24日
採血を受ければすべての医療行為は終了です。朝食を食べたら、シーツをはがして荷物をまとめ、ナースステーションへ床頭台のカギと入院のしおりを返却しましす。
正面は休診の為閉鎖中、夜間受付からそっと外へ出ました。駅からはバスに乗って帰宅しました。

前回に比べれ体がずっと楽だったし、なかなか楽しい入院生活でした。次に来るのは抜糸です。
ああ、あそこから景色を見ていたんだな。外へ出る日を待ち望みながら。

優しい息子さんですね(*^_^*)
入院中は暇ですから、たっぷりと
読書が出来た見たいですな(笑)
抜糸リハビリと頑張って下さいね!