朝早く家を出てクラブでサッカーをしてきた息子。昼ごろ帰ってきました。
午前中に永六輔その新世界を聴きながら、グリーンランダーの組み立ての確認と物置整頓をしたおとっつあん。
午後はどうしようかなあ。おまいさんは友達と上野に買い物行くんじゃないの?ボールパンクして、新しいの欲しいって言ってたじゃない。そうなの、一人なの?上野でなくてもいいなら、時間あるんだろう、一緒に自転車乗ってこようぜ。
「いや、それは遠慮します。」
遠慮と貧乏はする物ではない、と人に教わり、以来実践している私には通用しないですね。つくばの峠行くつもりだけど。
「なら、行こうかな。自転車貸してくれる?小径車がいいな。」
え、あれか?シフトはインデックスでないから、マニュアルで調節だぜ。路面の悪いところは小径ホイールではきついかもよ。ブレーキも50年前の設計、マファックドライバーのコピー製品、メイドイン葛飾の東京ブレーキクロスボーカンティだぜ。
「それでもいいよ。下りはゆっくり下るから。MTBより速そうだし、軽いでしょう?」
まあな。ま、いっか。帰りにイイアスでも寄ってボール買うか。
で、速攻用意して、15分後には車の中。常磐道を土浦北まで走り、1時間とちょっとで平沢官衙遺跡のハイカー&サイクリスト駐車場へ。工事中だけど、進入禁止にはなっていなかったので堂々と駐車します。
自転車を組立てて、空気を入れ直してヘルメット装着。で、Go!!まずは表不動をゆっくりと登ります。目標は30分程度。サイクルレーサーパンツに見える青いパンツは、実はサッカー用スパッツ。

ゆっくりでも「結構きつい。」と弱音の出るこの男。まだまだ、俺には勝てないのかな?
ギアを落として、上体を起こして呼吸を楽にして、視線は遠く、耳を澄ませて状況を把握、と指導。
なかなか進まない、とこぼすので、見晴らしのいいところで右見てみな、もうこんなに登ってきたんだぜ。
「え、凄い、結構登っているんだ!」

なんだかんだ、だらけながら登って30分ちょうどで峠へ到着。少し休憩したら裏へ下ります。が、来ない。待っていると、信じられないくらいの遅さでヨタヨタ下ってきます。こりゃだめだ、バイク交換!私が小径車を、息子にチタン+カーボンバック&フォークにデュラエースのセロッタを貸します。が、ペダルがフラットペダル、キーウィンのロードクリートを受け付けず、こっちが足滑らせそうで怖い!それでも、まだ私の方が速いくらい。
それでも、下りは慎重なくらいがいいのです。
華麗に左右にバンクさせ、小径車はクロスボーカンティをしならせながら下ります。そして下まで。下りきったら転回し、バイクを交換。さすがにこの靴とペダルじゃ、登れないぜ。

よし、今度はバキッと行くぜ。ゴールは峠の橋の下、どっちが先でもあそこで待つ。どっちが先行しても登りの途中で待つことはしない、とにかくあそこで集合だ。
グイッとペダルに力を込め、奴を抜き去ります。くるくるとペダルを回しながら、ペダルを「踏んでいる」奴がこの領域まで来るには相当時間がかかるだろうな、なんて思いながら先行します。
「そのペースで、上まで持つの?」
と声をかけてきましたが、答えは、「当然!」に決まっているじゃないか。
意外に差がつかず、後ろにぴったり付けてくる息子。傾斜が急になって、9パーセントの文字が。すると、なんということでしょう、いきなりアタックをかけて私を抜き去ります。なにくそと脚に力を込めて追いかけますが、これが追いつかないのです。
差を縮められないまま、コーナーへ侵入。ここからまた傾斜が緩くなります。ここで並ぼう。
が、なんとそこで、かえって大きく差を付けられてしまったのです。あとは奴がバテるのを待つだけしかできないオトッツアン。
淋しくもありますが、応援したい気持ちの方が強いのも事実。これでも親ですから。
走れ走れ、誰よりも速く、だれよりも強く、誰よりも遠くへ。
そして、俺も頑張れよ。息が切れ、汗が目に入ります。はぁはぁぜいぜいしながら、ようやく峠へ到着。息子は路肩に腰を下ろしてMTBライダーと会話していました。
MTBライダー氏、
「ロードは速いですね。さっき登ってくる途中ですれ違ったのに、もう登ってきちゃってびっくりしました。」
息が切れて、なかなか返答できませんでしたが、息が整ってきてから会話ができるようになりました。
息子にどれくらい差があるか尋ねたら、それほど長くはないよ、と言っていましたが、MTB氏、4、5分くらいかな?とのこと。それはないだろう、俺だって16分くらいでは登っているんだぜ。
でも、俺の負けだ。ヒルクライム、もう引退しようかな。
表を下ります。バイク交換は無し、そのままですが、スピードに慣れたようで、それほど遅れはしませんでした。

駐車場へ。が、素通りします。これからちょっと観光案内します。
まずは北条の街並みへ。竜巻の被害に遭った所ですが、ほぼ普及しているのでしょう。古くからの伝統を伝える歴史の町に戻っています。
ここからつくば道へ入ります。江戸の昔には、この道を籠でお殿様がつくば神社詣でをしたそうです。

歴史ある街道を走ります。

この道はまっすぐつくば神社まで伸びています。九十九折になっていないので、ものすごい斜度です。驚くことに、階段をコンクリートで埋めて、そのまま生活道路にしているのです。かなりの脚力がなければ、ペダルを踏みきれず、倒れてしまう道です。時間に余裕がないので、今日は途中まで。本当の急斜面に出る前にターンしました。
ここから官衙遺跡へ戻ります。

この斜度ですから、下りもかなり気を使います。しかも車通りも結構あるのです。この集落唯一の生活道路ですから。

平沢官衙遺跡前を通過。天気がよくて、気持ちよく走れました。

「自転車って、面白いね。先行されて、遅い俺を待ってもらうのが嫌だったけど、もうそんな心配いらないんだね。」
返答に困ること言うなよ。これでも一所懸命やっているんだぜ。
自分のポジションが出せて、それなりのフレーム、部品で組んで、ビンディングペダルを使えばもっと速く、もっと楽に走れるな。でも、その必要は今のところないかなあ。サッカーと勉強でほぼ、手一杯だからなー。
帰りにイイアス寄って、ゼビオで特価のサッカーボールと特価の登山用ステッキ(最近膝の悪い母へのお土産)、それに消費期限が近い特価プロテインを買って渋滞する常磐道へ突入しました。