深夜地震があり、変な時間に目が覚めてしまったので寝足りない感じで、ついぐずぐずと過ごしてしまいました。ベッドから出たのが5時、車に乗り込んだのが5時30分。
後ろに飛び出しているので赤布を付けます。道交法では車体長の一割まで飛び出てもよいので、何とか納まる艇長5mのグリーンランダー。ラダーを付けると、ちょっとまずいかな?もうちょっと前に積みたいのですが、ファルトはリブフレームのあるところでストラップをかけたいのでどうしてもこの位置になってしまうのです。

本当は、車のキャリア取付け位置が後ろすぎるのが原因。トヨタさん、何とかしてくださいよ。
渋滞知らずですいすい進み、コンビニで昼食と非常食を購入した後、7時40分、三浦半島和田長浜へ到着。青い海が見えてくると、やはりわくわくするものです。

公営無料駐車場に入れ、艇を下してセットアップします。浮力体とサイドチューブの空気を入れ直し、海岸線の側まで持って行きます。艤装品を取り付け、荷物を積み込みます。シーソックを付けたら、いよいよ出発です。出発は8時30分くらいでした。いつもより1時間くらい遅めです。
パドルは2本。海では予備パドルは必携です。海上でパドルの流失、破損、盗難に遭ったら、漂流してしまいます。今回は自作の木製ナローパドルと、ワーナーのリトルディッパーです。パドルホルダーにはリトルディッパーを付け、ナローパドルで漕ぎます。

ベタ凪もいいところ、旗さえだらりとしています。波はほとんどなく、鏡のような水面に引き波を立てて進んでいきます。今日の目的地は菜島にしました。この島まで12㎞位ありますので、往復すれば24㎞漕ぐことになります。この艇において、私の能力では、およそ3ノット(時速5.56㎞)くらいで巡航できます。片道2時間ちょっと、のはずです。
GPSとデッキコンパス、地図を頼りに(いや、通いなれた海域ですので視界がよければ無くてもよいくらいですが、一応ね。)ナビゲートします。まずは荒崎に向かいます。この辺りは浅くて暗礁も多く、また波が寄せてくる地点なので荒れることが多いのです。今日のようなべた凪であってもやはり白波が立っています。安定性の良いグリーンランダーは全く不安なく、岩礁の間を抜けて通過できます。

ここは釣り人も多くいます。釣り糸にも注意しながら通過します。もっと沖を通過してもよいのですが、素潜り漁をしているのでそこを避けるためにもここの通過としました。それに、こっちの方が面白いし。
荒崎を越えて進路を30度に取り、二つ漁港をやり過ごしたら進路を0度に取ります。いよいよ小田和湾の横断です。ここは港が多く、動力船が行き交うところなので一気に渡ります。音に注意しながら漕ぎ、エンジン音が聞こえたら進路を確認、かち合わないように調節します。
漁船の場合、行く先が決まっているので直線的に進路を取り、回避はしやすいです。また、前方の確認も怠る人はまずいません。困るのはプレジャーボートで、女性を乗せているやつ。ものすごいスピードを出して急旋回し、どこに向かっているのか見当がつきません。しかも女性のキャーが聴きたいらしく、そっちばっかり見てちっとも前は見ていないのです。金持ちのボンボンだか何だか知らないけど、たいしたやつじゃないよ、そんな奴。金がなければ何もできない男だろう、どうせ。そんなやつの船に乗っている女も同類なんだろうけどね。
とにかく、横断しなくては。湾口が広いので距離は長く、1㎞位はありそうです。神経を研ぎ澄ませて無事に横断しました。ほっと一息。ここに笠島という島がありますが、ここは自然保護のために上陸は禁止だそうです。また、佐島には橋が架けられていてその下をくぐれたのですが、漁協の圧力でシーカヤックは通行禁止になってしまいました。だれか何かやっただろう!
佐島にはブリキのおもちゃ博物館の館長、北原照久さんの別荘があります。

御大も、軽井沢の次はここら辺りにいかがですか?
笠島です。特にどうということのない岩礁に見えます。

笠島を過ぎると、立石が見えてきます。葛飾区にも立石様があり、地名も駅名も立石が存在しますが、ここのは海に立っていて比べ物にならないくらい大きいのです。遥か沖合を通過していても存在は目視できました。ここに息子と娘を連れてきて遊ばせたことがあったなあ。もう3年も前の話か。

ブイがたくさん浮いているところに出ました。定置網です。どこを通過すれば向こうへ出られるのか、行ったり来たり捜しますが、迷路のようになっていてどうしてもわかりません。仕方がありません。ラダーが上がっていることを確認し、ロープの沈んでいるところをそっと通過。喫水の浅いシーカヤックならではの通過方法ですね。
やがて長者ヶ崎が見えてきました。手前には尾が島が見えています。ここにシーカヤッカーが4名ほどいました。先ほど書き損ねましたが、出発地点でもほぼ同時刻に数名のカヤックが出港しています。フィッシングの人がほとんどでした。釣り具を持たないのは私だけだったかな?こっちのカヤックはツーリング目的の様で、釣り具は見当たりませんでした。沖合で出会ってこんにちは。この意外性はやってみないと面白さがわからないだろうなあ。
長者ヶ崎と、二人のカヤッカー。

長者ヶ崎を越えると、鮫島の向こうに赤い鳥居がかすかに見えてきました。まだまだ遠いなあ。それが菜島です。ここらに御用邸があり、ここも上陸禁止だそうです。
そして、鮫島も上陸禁止とガイドブックにありますが、なぜか釣り人がいっぱいいました。なんでだろう。鮫島を通過すると、鳥居は大きく見えてきました。
鮫島のあたりは海が荒れ気味でした。楽しく通過。
見えているのになかなか着かないのが海の上です。腕も結構疲れてきました。腰も伸ばしたいなあ。そのうちに、ボードの上に立ってパドルを漕ぐ男女が並走します。
「変わった船ですね。」
「そう?スタンディングパドルボード(だったかな?)て言うんですよ。」
なるほど、これなら腰は痛くないかも。でも、安定は悪そうだし、荷物はほぼ積めないなあ。
その2人連れと一緒に上陸。11時を少し回ったところです。うーん、結構疲れているなあ。お腹も空いたし。

艇を舫い、ドライザックからコンビニおにぎりを出します。食べながらその辺りを見ると、結構魚がいるぞ!そうなればこれの出番。マスクとシュノーケル、それに防水動画カメラです。

しばらく水中を覗いて楽しみました。うにもいっぱいいました。

時間を忘れてはいけません。今日の行程はこれでまだ半分なのです。このまま鎌倉まで行き、材木座で上がってタクシーという手もあるな、とは思いましたが、それではお金がかかって仕方がありません。また、海水でびっしょりのままタクシーに乗せてくれるかどうかも怪しいものです。
帰りましょう。風も出てきています。強くはありませんが、海風でやや向かい風気味です。
11時50分、帰路につきました。

往きは海岸線から遠くないところを通ってきましたが、帰りは早く帰れるようになるべく直線的に、荒崎を目指してまっすぐ行きましょう。が、やはり定置網はかなり沖まで張ってあるのです。そこをやり過ごすためにずいぶん沖まで漕がなければなりませんでした。下手に間を抜けようとすると、往きのように迷路につかまってしまうかもしれません。安全第一、急がば回れなのです。

上の写真、右前方にかすかに見える岬の、手前の方が、おそらく荒先でしょう。それでもずいぶんあるなあ。ブイはさらに沖まであって、結構遠回りになりました。陸地が遠い!
向かい風で速度が出ません。GPSですから対地速度になりますが、4㎞/hくらいしか出なくなりました。また、右腕に痛みを感じるようになりました。それでも休んでは陸地の方へ流されてますます遠くなってしまうのです。ゆっくりでも漕ぎ続けた方が、結果楽なはずです。
小田和湾に近づくころ、ボトルの水もペットボトルのお茶もなくなりました。ここからおよそ1時間、後は根性あるのみです。また動力船に気をつけながら湾の横断をします。なぜかこの辺りから突然漕ぎ気がわいてきて、一気にスピードアップ、4ノット=7.4㎞/hを越える速度で漕げるようになってきました。腕の痛みもほとんど感じません。不思議ですが、シーカヤックはいつもこんな感じなのです。漕げるときにはいくらでも漕げ、ダメなときには一漕ぎが重いのです。
あれれという間に荒先が近づいてきました。写真は広角なので遠く見えますが、実際にはもう少し近く感じます。

荒崎は午前よりずっと荒れていましたが、やはり素潜り漁の人がいました。ここは意外なほど豊かな海なのです。間違ってパドルで頭を叩かぬように、慎重に通過します。

またまた、あえて岩礁の隙間を通過してスリルを味わいます。ここを越えて、いよいよ母港の和田長浜へ向かいます。

14時40分、和田長浜到着。艇から降りると、脚が萎えていて海の中にへたり込んでしまいました。しばらく海水にいい気持ちで浸かっていました。

片づけます。艇はばらして車内に積みます。組み立て時はファスナーが閉じなくて困っていましたが、今度は開きません。グイッとやったら、ああ、とうとうファスナーが壊れた!ガンネルも一本、折れてしまっていました。どこでやっちゃったかなあ。思い当たらないのですが。買ってもう13年か、でも、直せばまだまだ使えるぞ!とにかく帰ってからだな。

コンビニで水分を多めに買い、口さみしくならないように食品も少し買い、自宅へ海から上がった旨を報告しました。帰ったら塩抜きをして、なんて考えていたのですが、大渋滞にはまってしまい、帰宅は19時30分に。仕方がありません。洗濯とカメラ、時計の塩抜きはしましたが、それ以外の物は明日やりましょう。