一方通行旅ができるのは、ファルトカヤックならではです。
艇の手入れと荷物整理は明日以降ですね。
朝5時起き、息子も起こします。駅まで車で送ってくれるというのです。眠そうでしたが、何とか運転できるところまで目を覚ましてくれました。
5時20分、家を出ます。息子の運転も随分安定してきました。
金町ー北千住と乗り換え、上野からは上野東京ラインで小田原行へ乗ります。

藤沢からは江ノ電です。

江の島の次、腰越で降ります。江の島から腰越間は路面を走るところが楽しいですね。

腰越から徒歩すぐで江の島の海岸へ到着です。

今日は波っ気が強く、湘南サーファーがキャーキャー言っていました。あっちは楽しいでしょうが、こっちはサーフ帯をどうやり過ごすのか、頭を悩ませます。しかしとにかく、艇を組み立てないことには始まらないので組み立て開始。

やや肌寒く、アノラックを着て丁度良いかんじでした。組み立てて、ラダーの調節、荷物の積載、艤装を施して約1時間。出艇準備完了です。
時刻は8時50分、いよいよ大海原へ漕ぎだしていきます。サーフはセットが来るタイミングを見て、その直後から次のセットが来るまでの間に砕波帯を抜ければいいのです。
セットだときついでしょうが、この程度の砕波なら、楽々漕ぎ抜けられるでしょう。

ここまで来ればもう安心です。このテトラを抜け、左へと行きます。

この先が七里ガ浜です。天気が今一つですが、風は弱く、漕ぎは楽でした。

しかし、やはり七里ガ浜も波が高くなっています。SUPにのるこの男性は、釣り具を積んでいました。SUPでも釣りができるんですね。

沖からは巨大なうねりがやってきます。しかし、クルーソー460はその程度のうねりで不安定になることはありません。写真ではうねりが分かりにくいですね。実はすぐそこに動力船がいたのです。すっぽりと波の陰に入ってしまいました。

漕ぎだして40分、七里ガ浜を通過し、稲村ケ崎前に来ました。マンガで、「恨みは深し稲村ケ崎。」が口癖のネクラ女性が出てきたことがありますが、実はこの辺りそれほど深くはありません。

稲村ケ崎を通過すると、いよいよ鎌倉の海ですね。由比ガ浜、材木座海岸などを抱えています。今日はここも怖いほど荒れています。はるか沖合を通過して、大波に巻き込まれないように気をつけました。

逗子マリーナ、大崎を左に前をみれば、葉山の町が広がっています。そろそろお昼のポイント、菜島が見えてくるでしょう。

おお、かすかにですが、菜島の鳥居が見えてきました。その左に見える灯台は裕次郎灯台ですが、写真だとはっきりとはまだ見えないでしょうか。

菜島周辺はヨットがいっぱいいました。そしてこんなに遠くなのに、鳥居より高く波しぶきが上がるのが見えます。これは上陸困難かな?

釣りボートもこの辺りには多くいましたね。波っ気が強くて釣りにならないのではないかと思うのですが、どうだったのでしょうか。

前方をヨットが横切ります。クルーは何か指導を受けているようでした。訓練中だったのでしょうか、あるいはレースに向けて練習中だったのでしょうか?

後ろ側も2艇のヨットが行きます。

さて、ずいぶん疲れてきましたよ。おなかも空いてきたし。どこへあがろうかな。


これ、上がれないでしょう。とてもじゃなけど。こんな波が島全体を洗っているのです。

釣りボートがずいぶんいたけど、よく怖くないですね。アンカー外れたら岩にたたきつけられますぜ。

上陸をあきらめ、沖に向かって漕ぎます。SUPがいたので、そのあとをついていきました。

さてどうするかなあ。ガイド地図をみると、長者ヶ崎の手前の根元に「荒れている時のエスケープポイント」と記されていました。そこへあがりましょう。
地図を見ている間、後ろからシーカヤックの団体が追い付いてきました。しばらく並走しました。

彼らはシーカヤックツアーだそうで、これから上陸して秋刀魚を焼くと言っていました。そして、よりによって私が行こうとしているところを目指して進んでいきます。こりゃ参りましたね。ま、いいでしょう。

長者ヶ崎を回り込み、ランディング場所を探します。やはり付け根の当たりは波が静かなようです。そこをねらってみましょう。

もう少し右がいいかな?と写真を撮ってからカメラをしまい、艇を右に回頭させたところで、驚きのことが発生しました。

何と、沖から大波が来て、想像よりはるか手前で波が崩れてしまったのです!砕波に対して横向きにされ、そのまま岸に向かって押されてしまいます。波を受け流すことはもう無理です。さて、どうする?いや、考えるまでもなく体が反応します。パドル右ブレードノンパワー面を波がしらに入れて体重をかけ、ローブレイスの形のまま波に押されるのです。そう、ブローチングです。勢いよく横向きに艇は進みます。そして白い波の下の方が再び青くなってきて、再度波頭がブレーク!
波に押されて右腕が上に持ち上げられそうになります。しかし、間違っても肩をあげたりしてはいけません。波のパワーはものすごく、脱臼の恐れさえあるのです。
なんとかこらえて岸までたどり着きました。しかし、最後にもうひとつ難関が待ち受けています。岸の手前に岩が出ているのです。このままでは岩に張り付いてしまうでしょう。波のパワーが弱くなってきていいることを感じてから、グイットパドリング、艇を進め、岩から逃げました。しかし、スターンのエンド辺りを打ってしまったようです。そして砂浜へ横向きにランディング。
セットが来ないことを確認し、素早く艇から降りて上がりました。ふう、危なかったなあ。
下の写真、この程度だと思っていたんです。まさか、あんな沖からくるとは、完全に油断していましたね。

いや、やはりあそこは波の立つポイントだったんですね。もっと大きな波でした。

上陸は11時28分でした。お昼ごはんはトマトリゾットとミネストローネです。ストーブは腐食に強い!?チタンのあれです。

なかなか美味しくできましたよ。

お昼ご飯を食べたら、出発します。12時ちょうどでした。空は厚く雲に覆われていますが、海はエメラルドグリーンでした。

シーカヤックとすれ違いました。

秋谷へ来ると、名物の立石が目に入りました。いつもは遥か沖合を行くのですが、今日は岸のそばを通過したのでよく見えました。この辺りには沖に漁労施設があるので、沖を行くか、さもなければ岸に沿って行かなければならないのです。

釣り船が来ていました。

ヨットのレースがあったようです。邪魔にならないように、大きく迂回をしました。

後ろを振り返ると、長者ヶ崎が見えます。昼食を食べたのはあれの付け根でしたね。そして左側奥には、もうかすかとなった江の島がかろうじて見えています。

ここにも定置網がありますね。大きく迂回します。

左に見える島は笠島です。上陸は禁止されています。植生を守るためだというので仕方がないでしょう。ここを越えると、その奥にあるのは小田和湾、ここの横断が最後の難所です。湾の向こうには荒崎が見えています。

小田和湾の横断で怖いのは、漁船やプレジャーボートの往来があることです。あまり前を見ないでかなりの速度で移動するのです。音を頼りに接近してくる船を確認し、その進路に艇を入れないようにしなければなりません。こちらは全く見えない物と思っていた方がいいのです。
小田和湾横断はおよそ30分くらいです。耳に神経を集中し、始終周りを見ていなければなりません。
もうすこし!

ようやく上陸地点が見えてきました。

そして、13時38分、ランディング!

江の島ー荒崎間を漕ぎ切った記念にセルフシャッターで。

マップケースの下にあるレジ袋とコーヒー缶は、海に落ちていたゴミを拾ったものです。こうして海をきれいにする活動を続けているとシーカヤックに対する理解が広がっていくと思うのです。一人でも多くのカヤッカーに実践して欲しいと思います。

艇をばらしていると、車で来たおじさんから声をかけられました。
「そこ船出しちゃダメだって!書いてあるでしょう!」

「出してないです。着いたんです。」
「なに、出してない??そうか、でも着いたって駄目だ。この港で事故やって、仲間が免許取り上げられたんだ。もう仕事にならなくて困っているんだ。体真っ二つになったんだってよ。そっちは保険でどうにかなったけど、船乗れないのは本当に困るんだ。」
明らかに漁港ではない所から上がったんですが、ここに至る過程に漁港区域が含まれていて通行禁止ということらしいです。陸上の禁止しますの看板だけでは海からくる人には分からないですね。

彼の言い分もわからないでもないのです。どんな事故だったのか、主たる原因はどちらにあったのか、それもわかりません。しかしねえ、なんでも禁止にすれば済むというあたりがさすが神奈川県警ですね。せっかく海上のごみ拾いをしてカヤッカーの地位向上を目指していたのに、それとは全く関係ない部分でどんどん締め出されていくのは何ともやるせない気持ちです。
荒崎からバスに乗って三崎口まで行きました。14時54分のバスに余裕で間に合いました。

バスは渋滞して遅れてしまい、乗るべき青戸行電車に乗れなくなりました。しかしそこは塞翁が馬、高砂行に乗ることにしました。乗り換えが大変な大荷物ですから、帰宅は遅くなりますが、かえって楽だったでしょう。

技術が必要ですね、 三毛ジャガーさんは
十分なスキルがあり十分楽しんだようですね。
コメントありがとうございます。
湖は簡単に見えて、実はリスクの高いゲレンデなのです。海と比べて水温が低く、低体温症になるまでの時間がとても短いのです。岸までも遠いうえ、夕方になって気温が下がってくると水温の方が高い状態になり、湖中央部に上昇気流が発生、中央部に流されて岸に戻れなくなります。また、海水と比べて比重が軽いので浮きが悪くなります。
西湖の時には、最初の計画ではカナディアンでしたが、風が強そうという予報から急遽カヤックにしたのはそういう意味があったのです。
でも確かに航行禁止って言われても
困りますよね~
海図には書いてあるのかしら
海図には航行禁止は書いていないでしょうね。正直、法的根拠もあいまいだと思っています。漁港使用不可と、港湾航行禁止は意味合いが違いますからね。
今度はどこへ上がったらいいのか、地図を読んで検討しています。
小舟であっても、決して沈まない仕掛けになっているのかな、あの小さな浮き袋。
よみながら、少しハラハラ。
ご推察の通り、エアバッグを入れてあるので浸水しても沈まないようになっています。ひっくり返って艇から投げ出されても、パドルを持っていればリーシュコードが艇を引き留め、再乗艇してポンプで水抜きをすれば再び航行可能になります。
その練習をして初めて単独での航海ができるようになります。