ラジカセ修理の依頼が入りました。電源は入り、ラジオは使えるけどカセットテープの再生、録音ができないということです。
これがその依頼されたラジカセです。まずは現況の確認。再生ボタンを押してもテープは走行しません。しかし、モーターの回る音がします。開けてみなくては何とも言えませんが、恐らく駆動ベルトが破損、もしくは外れたのでしょう。

開けてみます。最近はサービスマン以外に開けさせないために、特殊な工具が必要なネジ頭のビスを使うことがありますが、この製品は全てプラスドライバーで外せました。

ネジも全部同じ長さ、同じ種類でした。ありがたいですね。ソニーもなかなかやりますね。

次にテープデッキ部を外してみます。これもプラスネジ2本を外すだけで取れました。

思った通り、駆動ベルトが切れていました。こうなると問題は二つ、一つはどのようにかかっていたのか、そしてもう一つは代わりになるものは手に入るのか、です。

ネットで検索しても、良い物は高いか、もしくは輪ゴム程度の性能のようです。それならいっそ、輪ゴムを使ってみましょうか。

何回か試すうちに、このようにかけると正常に動くことが判明しました。

ドライブプーリー部でも交差させます。

ベルトの組み付けが済んだら、組み立てます。抜いた(抜けちゃった)カプラーを戻して、

あれ、この部品は何に使うんだろう?

色々と考えているうちに、リバースモードセレクターレバーであることに気が付き、このように付けると問題なく収まることが判明しました。

さあ、組み立て終了です。電源ケーブルをつなぎ、カセットテープを入れて、再生ボタンを押します。

♪はぁるぅのぅぅうらぅぅうのぅう すぅみぃだぁぁあぐわぁああ~
ダメだこりゃ。ワウフラッタ―が盛大に発生しています。やはり輪ゴムではかわりはできないのですね。
ん?
切れたベルトをいじっていてあることに気が付きました。すべすべしている!
そう、ベルトは交差させてかけているのでお互いに干渉しています。そこで伸び縮みを発生させているのではないだろうか?
よし、再分解だ!
そして、バリコンの操作用べべルギアの余っているグリスをいただきます。それを輪ゴムに塗りたくりました。十分なテンションがかかっているのでプーリーとの間にスリップは発生しないでしょう。そして輪ゴム同士の摩擦は減じられるので、きっとスムーズに動くのではないでしょうか。

再び組み立てます。何度も分解、組み立てをしているのでスムーズにできるようになってきました。この機種に慣れてきたのです。そして、空転させてしまってずれちゃったチューニング目盛りとバリコンの位置合わせをしてからケースに納めました。

さあどうだ!

♪はぁるぅのぅうらぁらぁの~すぅみぃだぁがぁわぁ~
ずいぶんましになってきました。もう音楽と呼べる範囲でしょう。でも、これじゃあ聴きたくないなあ。ましにはなってもまだまだワウフラッターがひどいのは明らかです。純正かそれに近い駆動ベルト買うくらいなら、新品買っちゃったほうがいいかも。オーナーにはそうお伝えしましょうか。
物を大事にすると言っても、限度がありますね。でも、面白かったなあ。
素晴らしいですね~使い捨てって言われる時代に分解修理なんて! そんなところが大好きです
ボクが直すのを諦めて捨てた、自動式スライドプロジェクターと8mm映写機はこの手の駆動ベルトでした。
好きでいてくれて、ありがとうございます。なんてね。おじさん同士でなにやっているのでしょうね。
大きな声では言えませんが、私はメカ音痴なんです。それだけで尊敬しています。肝腎なパソコンもチンプンカンプンです。
何もない環境の中から、あれれと思っているうちのこんなに近代化してきました。
50年前では信じられない世の中です。当時のものは畳と、箸と、茶碗くらいなもんです。
音響製品でなければ、スムーズさに欠けても動けばいいので安物の駆動ベルトでよかったかもしれませんね。それより、自動式スライドプロジェクターを個人でお持ちとは、そっちの方が凄すぎます。学校の備品以外にそれが必要な環境があったのか、それとも物欲だったのか気になります。
昔の物の方が直しやすくて良かったという面もありますね。今は電気釜でさえ故障したら基盤交換と言われる始末です。昔はサーモスタットでがっちゃんだったので直せたんですよね。
実は自分では試してないけど暖めてるアイデアがありまして・・・自転車のタイヤのビードなんですが(古くなってくるとペリペリ剥けてくるアレ。コンチネンタルのタイヤが特にひどいアレ)・・・ケブラー製で丈夫で伸びない(たぶんラジカセのモーター程度の力では)素材なので同じ長さになるようにはじっこ1cmくらいの所を瞬着で繋いだら上手くいきそうなんですよね。
自分の頭の中では。ちょっと試してみてください(笑)。
大昔、うちにも動かなくなったラジカセ、ウォークマン、ビデオカメラがありましたが、開けるとどうせ組み立てられなくなるので結局捨ててしまいました笑
ケブラーベルトか~。ものすごいアイデアですね。完全に趣味の融合ですね。ケブラーの場合、接合と伸びが全くないという2点をどう攻略するかですね。モーターマウントに遊びを付ければ大丈夫かな?接合は接着剤ではもたなそうです。私が考えていたのは、糸で補強されたゴム板を円形に切り取り、そのまま縦に入れたらどうかな、なんて考えていました。それか牛革かなあ。
接着や溶着していなければ、組み立てられますよ。何しろ製品として製造する過程では組み立てているのですから。むしろばらす方が難しい場合が多いです。押し込むだけで固定されるようなクリップやピンを使っていたりしますから。だから、安心してばらしてください。それに、どうせ捨てるなら一度は挑戦してみてもいいのではないでしょうか。
ホントにうろ覚えなんですが、「ヘッドクリーニングカセット」っていうのあったじゃないですか。カセットの形してて「ガシャガシャ」っていいながらヘッドのクリーニングをしてくれるやつ。
その中から適当な大きさのギアを取り出して・・・いたような?
すみません、マジでうろ覚えなので信じないでください。
そんな手もあるんですね。カムギアトレインみたいですね。高級デッキなら試す価値もありそうです。
いつかやってみますか?