今日は参りました。いろいろと。粕尾峠は鹿沼市と日光市の境にある峠で、標高は1,100mあります。今日はそこを越えてきました。夕刻から雨の予報が出ていて、その前には列車に乗れそうだし、風予報もやや強い南風。今後の休日もいろいろ予定が入っているし、行くなら今日しかないでしょう。
朝8時出発予定ですが、できれば10分くらい早く出られれば日程に余裕ができるので前日にパッキングと自転車の整備は終わらせておきました。ところが、なぜか出発に手間取り、気が付けば8時15分過ぎ。まあ南風なので新栃木に着くまでに取り返せばいいか。
また定番の江戸川に出て、北上します。最初は北風です。これは予報通り。でも、9時からは南風なので気にせず脚に負担がかからない程度、23㎞/hくらいで足をくるくる回していきます。9時。玉葉橋通過。まだ北風のままです。10時。関宿通過。まだ北風のまま。11時。渡良瀬遊水地通過。まだ北風だよ!!!脚に早くも疲労を感じていますが、12時新栃木のイオンを左折していなければ、私の脚では15時39分のわたらせ渓谷鐵道に乗れなくなるのでペースを下げることはしたくありません。
自転車はエネルギーマネージメントが重要で、少ない出力と熱量を小出しにして何とかゴールまで持たせなくてはなりません。しかも筋肉の回復を図りながら、不足しないように水分カロリーの補給をしながら、道を間違えないように、他の交通との事故も避け、さらにトレーニングとして成り立つ程度の疲労にしなくてはならないのです。筋肉を使いすぎて壊してしまうと今後のトレーニングメニューがこなせなくなったり、本番で十分なパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。もちろん最後の一文は大げさです。
渡良瀬遊水地の端まで来ると一般道を走ることになります。ここまでおよそ70Km、本日の行程の半分です。サイクリングロードでここまで来れてしまうところが今回のコースの良いところです。県道11号、日光例幣使街道を走ります。路肩が十分あるところはいいのですが、そうでないところは広いので歩道に上がらせてもらいました。
そしてメーターで88㎞地点、イオン手前のセブンイレブンで補給食を買います。時刻は11時50分。何とか出発の遅れを取り返しました。しかし、脚にはかなりの疲労感があります。一応ストーブとシェラカップ、それにカップヌードルも持ってきてはいますが、今回は非常食扱いです。妻から毎回それではダメだと言われ、また、ここ以後1~2店のコンビニもありますが、そこを過ぎた後はゴール地点まで、いやゴールも何にもないか、とにかく商店のないところなので十分に食料を仕入れる必要があります。おにぎり2つ、4連ミニアンパン、なんとかチャージドリンクが昼ごはん、チーズバーガー、QBBチーズが到着後のタンパク質補給用。そのほか行動食として持参したのは父の手作り饅頭2つ。水はザックに仕込んだハイドレーション1ℓ。
コンビニを出てイオン前で左折、この道はその名も栃木粕尾線。広い道で走りやすく、本日初めての追い風の恩恵も受けながら走ります。腕のプロトレックの高度計は高度上昇になっていますが、まだ100mでしかありません。あと1,000m、登るわけです。歩道橋の下で昼食。あまり時間を取ると帰りに差し支えるのでパクパクッと食べて直ぐにバイクの上、ハイドレーションの水を吸いながら口を漱いでごっくん。13時、大越路トンネル通過。高度計は235m。トンネルを抜けたらもったいないことに下ってしまいます。下りきると県道15号、鹿沼足尾線にぶつかります。そこを左折。
角に販売店があり、以前に来たときにはここで休憩しました。今日は通過します。
ここからが登りの本番です。これまではアプローチにすぎません。山登りでは林道歩き、飛行機ではタキシング、ラリーではリエゾンといったことろでしょう。そのアプローチがちょうど100㎞でした。
ここから峠まで33㎞。2時間ありますから、何とかなる範囲でしょう。最初は傾斜は緩く、23㎞/h~25㎞/hで流せます。脚へ負担がかからないように頻繁に変速しました。少し行くと思川沿いに出ます。思川は渡良瀬遊水地に流れ込んでいる河川の一つで、一部サイクリングロードがあります。ずっとここまでつながっているといいのですが。川の水は結構きれいです。ポーテージ(担ぎ)を厭わなければカヤックで下ることもできそうです。 墨田区自然の家前後が一番傾斜がきつく、最後の九十九折は意外にたいしたことはないのはもう3回目なので当然わかっています。そこをいかに無難にやり過ごすか。そのためには脚を残すように登っていかなければなりません。
だんだん傾斜がきつくなり、ギアはとうとうインナローに入れっぱなし。それでも12㎞/h程度では走れています。途中工事区間があり、片側通行で信号機規制がありました。警備員に話しかけられ、どこまで?と尋ねられ、粕尾越えで足尾まで、というと、たいしたものだね、車でもえらい道だよ、がんばってね、と言ってくれました。
墨田区自然の家まであと4.7㎞の看板があり、このペースで行くと、そこまであと20分くらいかな、などと思っていたら、雨が降ってきました。たいした振りではないのですが、気温が急激に下がってきています。樹林の下を走っていうので体が濡れることはあまりありませんが、ひどくなるなら合羽を着るしかないでしょう。時刻はまだ14時。予報よりかなり早いぞ!高度は485m。
ここからかなりの急傾斜になります。シッティングではきついのでダンシング(立ちこぎ)。そしてある程度クリアしたらまたシッティングと交互に繰り返して登っていきました。14時15分、高度は590m。右脚裏にぴきーんと痛みが走ります。攣る寸前。急いでバイクから降り、脚の裏筋を伸ばします。これはやばい。少し休憩。思えば今日、脚が地面の上にあったのはコンビニに入っている間と昼食を食べている間だけ、あとはゆっくり走って休憩にしていたし、朝の向かい風でも消耗していたし、急激な気温の低下もあり、と攣る要素は盛りだくさん。とにかく回復させて完全に攣るようなことがないようにしないと、峠をあきらめてもエスケープさえできなくなります。最悪の場合は17時まで待つとバスがあるのではありますが。
回復に時間がかかり、少し長めに休むことになりした。いきなり負荷をかけると怖いのでゆっくりと立ちます。何とか大丈夫。まだ違和感はあるので、自転車に乗るのは不安があり、かといってこのまま進まずにいると列車には乗れず、雨もひどくなるだろうし、いよいよ状況は悪化するのは確実、しかたなく押して歩きます。これでヒルクライムトレーニングになるのだろうか。
5分も歩いたでしょうか。再びまたがり、ペダルを踏みます。何とか攣らずにペダルが回せます。しかしかなりの斜度、ダンシングを余儀なくされ、ピリピリを感じたら早めに停車。立ったまま回復を待ち、再び乗車。そんなことを繰り返し、自然の家、山の神と通過。そして14時50分、九十九折入り口に到着。ここで最後の休憩。なんとかドリンクを飲み切り、再び自転車の上。15時、高度875m。もう39分には間に合いません。仕方がない、次の59分トロッコ列車にするか。
雨がだんだん激しくなってきました。たまらずウインドーブレーカーを着ます。これの柄はスパイダーマンです。masamasa師匠がオークションに安値で出品したので買ってしまいました。息子が好きだったので、当時は大いに受けた(と思っているのはオトッツアンだけかも)のですが、今となっては派手好きの変な中年にしか見えないでしょう。でも、これとヴィテスのピングーしか自転車用ウインドーブレーカーを持っていないので仕方がありません。被視認性も考慮すると、自転車用品は派手な方が安全でもあります。
さて、つづら折りにはカーブごとに番号が振られています。鹿沼側の下から1番、2番と。しかし、峠が何番なのかわからないので、何の指標にもなりません。あといくつという励みになるように、峠から付けて行って欲しいものです。
15時15分高度1015m。あと85mか。と思いたいところですが、気圧が下がってきているでしょうからおそらくもう数十メートル上にならなければ越えられないでしょう。15時30分、案の定1165m。そしてここで峠を登り切りました。予定より30分も遅れています。あとは9㎞の下りと、平坦1㎞位のはずですから何とか間に合うでしょう。雨は激しさを増したので、合羽を出して上下とも着こみました。腕時計は見えなくなりますが、今更見る必要もないでしょう。メーターにもついているし。
さて、下りだしてすぐ、濡れた落ち葉が道に多量に張り付いていてグリップしないことに不安を覚えました。これはひどい。ペースが上がりません。ただでさえ下りが苦手なのに、これではスピードはかなり控えることになってしまいます。メーターは17㎞付近をうろうろします。コーナーがブラインドになっているところが多く、対向車とすれ違う十分な幅がないところもあります。ブレーキはほぼ、握りっぱなし。強弱をつけるのみです。かなり下の方までそんな感じで、道が広くなってからは30㎞/hを越えましたが、デュラエースにオープンプロのリムでもブレーキの利きは悪く、停止距離はものすごく長くなっていてかなり手前から強烈にレバーを握りしめないと停止できません。ただ、サングラスは雨弾きが良く、大雨の中、視界が良好なのは救いです。
うんざりする長いを下り、ようやくR122に出ました。もうすぐ間藤です。大型トラックに泥水浴びせられながら、ぎりぎりの時間だからどうやって自転車を輪行しようか、合羽着たまま車内に入るとまずいかなあ、など、作戦を立てているうちに間藤に到着。すると、なんてことでしょう。目の前で列車は発車してしまうではありませんか。後ろにトロッコ車両をひいています。ああ、間に合わなかった!
家に電話し、無事到着と、乗り遅れたので帰宅が遅くなることを報告。いつごろになりそうか、と聞かれ、時刻表を確認。なんと!次は17時15分ではありませんか。電話の父に報告すると、1時間以上待つのか、そこからどれくらいかかる?3時間以上。
まずは自転車を輪行袋に入れます。道中、とりあえず前後輪外して袋に入れ、手で押さえながら列車に積み込み、中でストラップだけかける。相老でりょうもう号を待つ間に入れなおす、という作戦を考えていましたが、そんな心配まったく無用でいつも以上にしっかりとしたパッキングができました。それから着替え。合羽を脱ぎ、ザックに仕舞います。スパイダーマンは寒いのでそのまま来ています。レーサーパンツとレッグカバーはほとんど濡れていないのでそのまま、靴下は脱いで、靴は歩けないレーサーシューズは脱いで持ってきたサンダルシューズに素足を突っ込みます。
それから補給食。ハンバーガーとチーズを食べてタンパク質を補います。暇なので写真を撮ったり(そういえば今日初めてカメラを出しました)傘さして散歩したりしました。16時45分、列車入線。
台風接近中の雨の中、自転車持ってくる物好きがそうはいないでしょうが、この列車は輪行袋を置くところが限られているのでいちばんで乗りたいのです。運転士に声をかけ、乗れる様になったら声をかけてもらいました。間藤からの客は私を含めて2名だけ。
草木トンネルでは列車内の音を、カメラの機能を使って録音しました。神秘的な感じさえします。相老からは東武のりょうもう号で北千住まで。金町からは迎えに来てくれた妻の運転する車で帰りました。
休日に家事を一切やらなくていいのかって?いいえ、風呂掃除は朝早めに起きてやってあります。水分のふき取りまでしっかりやっています。今日はこれで許してください。
本日の記録(すべて持参計器値)
走行距離 142㎞
走行時間 7時間08分
最低高度 自宅 25m
最高高度 粕尾峠 1,165m(1,100m)
累積高度上に 1,190m
累積高度下に 495m
さすが2000mは寒いですよ、貴殿なら百も承知ですけれど。
ボクが3人組んで12月中旬に三峯から鴨沢まで一泊で縦走したとき、雲取山荘(改築以前)のコタツに入ってノンビリと缶ビールを飲んでいたらビールが凍りジャリジャリになりました。寒波が来ていたとはいえ、暖かく火の入ったコタツの上なのであきれてしまいました。テントだったなら自分たちの体も凍ったことでしょう(笑)。一人は「かまくら」で知られた秋田県横手出身者で「どんなシバレる晩でもコタツの上でビールが凍った話しは聞いたことがないですよ」とその寒さに感動してくれました。彼もそれ以来、山好きになってくれたのでした。