前日に準備を整え、朝は着替えて出発するだけとなっている午前4時30分目覚ましが鳴ります。妻を起こさないようにそっと抜け出し、一通りの荷物の確認をして(充電中の物がいつも危ない)、4時50分家を出ます。駅までは徒歩です。

金町駅到着は5時15分頃でした。スイカにチャージしてから改札を抜け、ホームにあがります。大荷物ですから、もちろんエレベーターを利用しました。

大荷物とは、バタフライカヤックスのクルーソー460コックピットポッドとそこに入れた漕行用品一式、着替えや非常食などの荷物の入った50ℓドライザック、そして腰には貴重品を入れる防水巾着です。

人もまばらなホームで始発電車を待ちます。5時24分の列車です。これに乗れば8時34分に富浦に到着するのです。
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新松戸で武蔵野線に乗り換えます。ガラガラの常磐線とは違って席はほぼ埋まっていて立っている人もちらほらいました。空いている席は一か所だけ、そこに荷物を置いて隣に座るとっぽい兄ちゃん。声をかけて荷物をどかしてもらい、そこへ座りました。イヤホンをしたままで「ちっ」とした後、きもいなあと声を出していました。なんだこいつ、とは思ったのですが朝から不愉快な経験をしたくなかったので知らん顔していましたが、あからさまに嫌がっていることが分かりました。

しばらくして駅に着くと高齢女性が車両に乗ってきました。もう席はすべて埋まっています。すると驚くことにその若者、女性に席を譲ったではありませんか。私が経とうとする数秒前の出来事です。なんだ、案外見どころのあるやつじゃないか。その女性がお礼を言って降りた後はまた私の隣に座りました。

そして終点南船橋駅に着きました。大荷物を抱えているので出遅れてしまいました。ここの乗り継ぎはわずか3分です。急がないと大変な遅れになってしまいます。何しろこの後内房線に乗り換えるのですから。

荷物を引っ張ってエレベーターまで行くと何ということでしょう、健常者たちがいっぱい乗り込んで降りて行ってしまいました。まじか、急がないと。しかしなかなかエレベーターはあがってきません。ようやく来たエレベーターに乗り込み階下へ降り、1番線ホームを目指します。すると列車の入線する音が聞こえます。エレベーターの前はまた人だかり、仕方がないのでエスカレーターに乗り込みますが残念ながら目の前で列車は走り出していました。参ったなあ。若者の荷物どけて座った分遅くなったのが原因だったかなあ。

とにかくどうすることもできないので、スマホで次善の策を検索します。現在位置は南船橋、目的地は富浦、出発時刻は今。6時21分蘇我行きだと蘇我到着が6時40分。6時38分の内房線に乗ることができません。次の便は7時19分発で、上総湊で待ち時間が28分もあります。富浦到着は9時28分だよ、ずいぶん遅くなってしまうなあ。

ん、一番早いのは8時59分だぞ。どうやって行くんだろう?なに、高速バスで館山行って電車で戻ってくるのか、その手があったとは!館山まで行って電車で戻らず、そこから漕ぎ出して適当な所であがるという手もアリですね。

蘇我駅で降りたら改札を出て、出発まで時間的余裕があるのでコンビニで今日の昼食、行動食などを購入します。

そしてバス停で待ちます。バス停の時刻表に停車場が書いてあり、道の駅とみうら枇杷倶楽部とあるではありませんか。地図で調べると海までも近く、これ最高!

7時定刻丁度に高速バス南総里見号が来ました。参ったな、このタイプだと艇が乗せられないじゃん!
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すると運転手さん、トランクを使ってよいとのこと。ありがたい、早速艇を入れさせていただきました。

高速は空いていて時刻表通りの運航ができそうです。スマホで到着時間を調べながらうつらうつらしてきました。朝が早かったこともあり、また乗り換えなしで行けるようになった気の緩みで寝落ちしてしまいました。
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遠く最後尾から聞こえる静かなディーゼルサウンドとゆったりした乗り心地に気持ちよいバス旅を楽しみました。

やがてバスが一般道へ出る気配を感じ、目を覚ましました。高速降りてからほんの少しで目的地に到着です。忘れ物ないようにというアナウンスを聞いたので座席の上と前座席背もたれのネットを確認してから荷物のお礼を言っており、トランクから愛艇クルーソーを出しました。

そしてバスを見送ります。8時11分です。南船橋で順調に乗り換えできていたらまだ到着していません。
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さあ、海まで歩きましょう。その前に家に行動開始のライン入れておくか。あれ、ポケットの中に入ってないなあ。防水巾着か?ん、携帯どうした?いや、どうしたもこうしたもないぞ。バスの車内で見ていたのだから、ここになければバスの中じゃん。

振り返るともうバスの姿はありませんでした。さてどうした物か。まず必要なものはメモ用紙と筆記具です。それと公衆電話。コメリと道の駅は朝早すぎてやっていません。道の駅の外に公衆電話発見。どっかにコンビニないかなあ。調べる術を失っているので勘に頼るしかありません。駅前は恐らく何にもないでしょう。むしろ海水浴客の来る海の方じゃないかな。あたりを付けて歩き出してすぐ、セブンイレブン発見。そこでボールペンを購入しました。レシートがメモ用紙になります。

道の駅に戻って公衆電話から電話をかけます。公衆電話の中に電話帳があったのでそれで引いてみましたが、ちばシティバスの電話番号は掲載されていませんでした。うーん仕方がない、104だな。そこへ電話したら何とびっくり、100円を入れろとのこと。手数料そんなに取るの!でも背に腹は代えられません。100円入れます。

次はちばシティバスへ電話しました。7時蘇我発館山方面の高速バスでとみうら枇杷倶楽部で降りたこと、携帯電話を車内に忘れてしまったこと、席は左側前から2番目であること。しかし、まだ走行中で9時12分にならないと確認できないということでした。まだ40分もあるぞ!

さてどうする。バスの終点は安房白浜だったけど、そこまで取りに行くのかなあ。とりあえず電車で向かうことになるだろうから、富浦の駅に行こう。地図はないから勘を頼りに歩きます。

大荷物を持って歩くのでかなり辛かったのですが、なんとか富浦の駅に到着。次の電車は9時30分だよ。12分になるのを待って駅前の公衆電話から再びちばシティバスへ電話します。

「今バスから無線が入りました。ありましたよ。」
どこに引き取りに伺えばいいでしょうか?
「こちら営業所がないので、もしお時間がよろしかったら帰りの便で富浦にお届けいたしますが。」
それはありがたいお申し出です。お願いします。11時40分とみうら枇杷倶楽部になるとのこと。まだ2時間半もあるな。なら、艇を組み立てて艤装を済ませ、昼ごはんも済ませておけばぎりぎり午前中には漕ぎだせるな。

それにしても、今思うのは太川陽介さんの偉大さです。時刻表の検索なしに現地で調べてバスの乗り継ぎ旅をするのは本当に大変なことなんですね。

9時30分、予定より1時間遅れで海に到着です。本来ならば漕ぎだす時刻です。うっすらと富士山が見えました。富士見の浜と呼ばれているそうです。
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左腕のG Shock、G‐LIDEのタイドグラフはこれから潮が満ちてくることを示しています。ここで組み立てておけば桟橋を使って舫っておけるので流失の心配はなさそうです。
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エアバッグは少し空気を少なめに入れて置きました。2時間も放置するので過熱してバーストすることを恐れたのです。
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時間もたっぷりあるのでラダーの調整もしっかりと行いました。
1時間もしないうちに漕行可能の状態になりました。でもまだ諸事情により1時間以上動けないのですよ。
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日照りがきつく、なおかつネオプレンのロングパンツと上着を着ているので熱中症が心配になります。早めにバスターミナルへ行って日陰で水分補給をしましょう。

道の駅も開いたのでちょっと顔を出してみましたが、これから海に出るので買うわけにはいかないのですぐに出てしました。そしてカロリーの補給です。待合所は他の方もいたのでまさかおにぎりというわけにもいかず、マスクをずらしてレーションを頬張る程度にしました。

そして定刻の1分遅れでバスがやってきました。
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運転手さんから私の携帯が渡されました。厚くお礼を申し上げました。いや本当に良かった。この携帯は今日は私以上に冒険をしたなあ。白浜まで単独の往復しているんだから。

海まで戻ってきました。ずいぶん満ちてきていますね。11時55分、出航です。
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