2018年10月21日

荷物を預けたら、案内板に導かれてスタート地点へと向かいます。前夜パーティーで安田講師が「無駄な力を使うな。」という指導をされていたのを思い出し、ゆっくりと歩きました。スタート地点はA~Fと能力順に並んでいて、エントリー時に「初めてマラソンを走る人はF」と指定されていたので私ももちろんFです。Aはこっち、それ以外はもうちょっと先を行けと言う指示があり、それに従います。風が冷たく、袖なし短パンの私にはちょっと辛い感じです。

やがてFの看板の前に到着。まだスタートまで1時間以上あるというのに、結構な人数が並んでいました。その中で風を避けられそうなところの中央分離帯を選んで腰を下ろします。角にゴミ袋が設置されていました。ビニール袋に穴を開けて被っている人がいて、そうかゴミを捨てられる環境ならこの手もあるんだな、と思いました。太陽に当てて体を温め、何とか寒風をしのぎます。

オフィシャルが水分補給がこの先にあるのでどうぞ、と言っています。私的にはスタート前にそれがあるとも知らなかったこともあり、水も十分に摂取してきたのでむしろトイレの方が必要です。すると、Dの辺りにトイレもあるというではありませんか。混む前に行っておきましょう。

やがて、セレモニーが始まったようです。スピーカーが遠くてあまりよく聴きとれませんが、これは聞こえなくて大丈夫でしょう。

10,9、8、とカウントダウンが始まり、9時55分、車椅子組の出走が行われていることが遠くのスピーカーから聞こえてきました。いよいよあと5分でスタートです。私も立ち上がりました。そして前へと詰めるように進みました。でも、いきなり走れないことは知っています。

「さあ、皆さんもご一緒に、5,4,3,2,1、スタート!」
ぞろぞろと歩き出します。周囲の声では、Cでも4分ほどスタートにかかるということです。Fはどうなる事やら。

自転車レースなら最初ゆっくりでもだんだん速度が上がってくる物なのですが、何しろ集団の混雑ぶりがそれとは桁が違うのです。いったん止まったりすることもあり、なかなか前へは進めません。タイム計測はスタート地点を過ぎてからと聞いているのでここであわてる事もないのでしょう。そして7分程度かかり、ようやくFグループもスタートラインを越えることができました。FitBitボタン長押しで計測スタートさせます。さあ行くぞ。前方にいきなり坂道が見えます。富士見大橋です。なるほど今日は良く富士が見えることでしょう。

しかし集団は速度を上げずに、一応走ってはいますが歩いてもついていける速度でしか進みません。早くも失敗に気がつきました。マラソン初めての方はFで、というアナウンスに引っ張られてぬるすぎる集団に交じってしまったようです。すると、同じような思いの人もいるようで、一番右の端をするすると上がっていきます。その後ろにつき、一緒に前へと出ることにしました。

沿道の応援が途切れることなく続きます。手を振ってあげている人が多いのですが、何しろ完走できるかどうかが勝負という私にはその余裕がありません。とにかく前へ前へと左右に前走者をよけながら進んでいきます。

道は何度か左へ曲がり、そのコーナーの外側では人もまばらになります。ダッシュを入れて一気に前へ出ます。それでも自分のペースで走れるようにはなりません。まだまだ前へ行く必要があるようです。

4㎞地点付近でしょうか、東京ホテイソンがテレビ中継をしていました。カメラに向かってピースサインを出しました。(家に帰ってから録画を見たら、しっかり映っていました。)

5㎞地点、最初の給水ポイントが近づいてきました。150m続きます、奥の方が空いていますというアナウンスがありますが、それでも多くのランナーが鈴なりになっています。むしろ一気に前へ出るチャンスでしょう。給水をせずに人気のない右側を進みます。

そしてそれが幸いしたのか、自分のペースで走れる様になりました。周りのゼッケンを見るとCやDがほとんど、時々Bが混じっていました。最初からDくらいにしておけば良かったのですね。

6k地点を過ぎると前方に再び橋が見えてきました。金木橋でしょう。再び安田講師の話を思い出します。
「登りでも一定に、それは速度ではなく負荷です。ペースを一定にしようとすると心臓に負荷をかけてしまいます。」
心拍が上がらないように、速度を落としてやり過ごします。周りはというと、何と自分以上にペースを落とす人が多く、歩いている人さえ散見されます。高さで12.3mしかないのですが。マラソンでは登りは無理しないというのは常識なんですね。自分のペースが速過ぎるのではないかという不安を感じました。

さあそろそろアクアラインが見えてくるころです。いや、正しくはアクアライン連絡道だったね。前方に連絡道が見えてきました。高架のそれに沿って左折します。8㎞周辺で給水所があります。これが海ほたるまでの最後の給水所とのこと。まだ給水は不要な感じではありましたが、一応いただきました。

木更津金田ICが見えてきました。ランプウェイを駆け上り、料金所をくぐりぬけ、本線に合流します。いよいよアクアラインです。右からの風が強く、走っていても寒さを感じるほどでした。帽子が飛ばされそうな感じもあり、ストラップを少し締めました。やや前方からの向かい風なので、ドラフティングを心がけました。

写真は千葉アクアラインマラソンオフィシャルサイトから頂きました。
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車でしか走ったことがない道を大勢で走るこの不思議感覚、両側にさえぎるものなく見渡す限り海が広がり、富士山はいよいよ大きく見え、そして船やジェットスキーからさえも応援がありました。オフィシャルが立てた9㎞というポストとは別に、海ほたるまで3㎞という道路標識も当然あります。

水分補給が多すぎたのでしょうか、尿意を感じてきました。1㎞毎位にトイレがありますが、並んでいます。あれ待つと時間取られそうだなあ。海ほたるまで行けばトイレも多いだろうから、もうちょっと我慢するか。

大柄な黒人ランナーがいたので、追い抜きざまにゼッケンを確認するとやはり、ボビーオロゴンさんでした。
「あ、ボビーさん。」
と思わず声が出てしまいました。すると、
「はーい」
とハイタッチしてくれました。分厚い筋肉質の手でした。しかし疲労がピークに達しているかのような走りで、荒い息づかいでした。悪いことしちゃったかな。私の声をきっかけに数名に人がボビーさん、ボビーさんと声を掛けていました。ふらふらの足取りのままでも笑顔で対応していました。

ボビーさんを追い抜き、遥か彼方に壁のように見えるアクアライン最高地点に向かって走ります。あの登りではどんな苦痛があるのか、恐怖を感じながらも今現在の平坦で気持ちの良い走りを楽しみました。

11㎞地点を通過する頃にはいよいよ登りに差し掛かっています。しかし見た目ほどに急な坂には感じることはなく、心拍を上げないよ、心拍を上げないよ、と言い聞かせながら登っていくと案外楽に登り切ってしまいました。そして下りです。下りは筋肉を伸ばしながら負荷をかけるので傷めやすいのですが、ザックを背負っているわけでもなく傾斜も4パーセント程度と緩やか、案外楽に走れました。そして海ほたるで折り返した反対方向を箱根の山の神、柏原竜二選手がこちらに手を振りながら登っていきました。

下り切ったらもう海ほたるです。さあここではトイレに寄っていきましょう。しかしというか、やはりというか、ここでもトイレには並んでしまいました。仕方がありませんね。

済ませたら、再び走ります。アクアライン上には補給箇所はないので、海ほたるの給水所で水分を摂りました。

海ほたるを出たら後ろから藤森慎吾がカメラマンを引き連れて追い抜いていきました。数名があ、藤森さん!と声を掛けていましたが、黙々と走っていきました。また前方にボビーオロゴンさんがいて、再び追い越しました。私がトイレに立ち寄っている間に追い抜いていたのです。

折り返してからは追い風になり、ますます楽しく走れるようになりました。道もわずかながら下りになっているようです。このままずっと最後まで続いてくれたらな、と思わせる気持ちの良い道でした。

しかしというか、当然というか、終わりは確実に来てしまいます。ICのランプを降りると一般道へと降りてしまいます。降りたらアウトレットパーク木更津への敷地へと誘導されます。ここで武士がいたり、太鼓と踊りがあったりしていましたが、走っているので何をやっていたのかほぼわかりませんでした。そして牛込海岸入り口付近で二つに分かれてハーフはゴールへと向かうのです。そこで再び柏原竜二さんがいて、ハイタッチをしてくれました。ここまでくるとすぐに21㎞の看板、そのすぐ先に中間点の看板がありました。なんだもう中間か、これならゴールは出来そうだな、という気分と、いやいやこれから体に変調をきたしてくるのでそれとどう付き合うのかだぞ、という気分が入り乱れていました。

中間地点を過ぎてから袖ヶ浦アンダーパスまではこのコースには珍しい平坦区間です。背中に風を受けながら坦々と走ります。沿道の応援も途切れることはなく、個人で用意したと思われる水分や補給食の提供もありました。

しかしこの平坦区間は本当に短く、右にキュッと曲がると袖ヶ浦アンダーパスです。幼稚園児たちの応援がありました。すぐそばにベジータがいたので大人気、盛んに手を振ってもらえていました。ここも心拍を変えないように心がけながら通過します。袖ヶ浦の住宅街を抜け、25㎞地点付近でシャワーのサービス。特に脚に暑さを感じていたので、中をくぐらせていただきました。

27㎞地点を通過して間もなく、残り15㎞の表示がありました。そうか、もうそんなもんなんだね。なんとなく安心感もありますが、道は上ったり下ったりで常に脚へダメージを蓄積させようと狙っています。油断は禁物です。やがて袖ケ浦公園の横を通過。ゆりの郷の前を通過したら、右に曲がって用水路沿いに走ります。29㎞地点通過したあたりでしょうか、ロッキーのテーマを流している人がいました。

「30㎞を過ぎてからが本当のマラソンだよ。がんばれ。」

なるほどその通り、これからがマラソンならではの距離ですね。左折したらすぐそこに30㎞地点がありました。ここからがマラソンです。ここまでの距離ならば先日走っているのですが、ここでハンガーノックを起こしています。今日は全く空腹を感じません。補給食が功を奏しただけではなく、やはりカーボローディングが効いているのを実感します。3日前から取り組んだだけのことはあります。

やがてアクアライン連絡道が見えてきました。あそこに沿って走るのですが、これが結構な登りになっています。でも嫌な感じはしないのは体調が良いからでしょうか。速くはありませんが、歩く気には全くなれずに走り続けられました。アクラライン連絡道から離れたら、なぜここをコースにしたのでしょう、ほたる野地区へ入りました。さすがにここの登りは脚に来ます。心拍を確認するように、無理をしないように登っていきます。そしてもうちょっとで上まで出るぞと言う直前に左折、するとああ、なんていうことでしょう、もう一段登りが待ち構えているではありませんか。いやここを登れば下りが待っていますよ。

そして、下りです。そうか自転車じゃないんだった。下りも楽じゃないんですよね。下りきって左折すると折り返しがある区間です。その途中に35㎞地点がありました。35㎞の壁、というやつですね。しかし今日の私には壁は存在せず、ペースに乱れのないまま走り続けられています。いやいやこの先にあるのかもよ、壁はさ。

折り返しを過ぎたらおもてなし区間とかで内房の名産が楽しめるということになっています。多くのランナーがそこに吸い寄せられています。しかし私にはその余裕がありません。水分だけをいただき通過します。食べたら恐らく、走れなくなっているでしょうね。もちろん安田講師の教えを守っているわけです。

そして、37㎞地点過ぎに右折します。いよいよランナー泣かせの心臓破りの2段坂、滝見台地区です。強烈な坂が迫るようにそびえています。しかし沿道の応援があったからでしょうか、辛いとは思わずに楽しく走ることができました。左折すると今度は下りです。下りの方が急傾斜でしょう。一気に下っていきます。ここで膝裏の筋に痛みを感じてきました。これ大丈夫かな、最後まで持つか?するとエアサロンパスを持っている沿道の応援の方、いかがですか、と声を掛けてくださいました。すかさず
「お願いします、膝裏が痛いです。」
すると気持ちの良い冷たい冷気が膝裏に当たりました。すっと痛みが引いていくのが分かります。
「ありがとうございました。」
下り切ったあたりで、まだ心拍にも余裕があり、膝裏の痛みもほぼ消失、筋肉の攣りもなさそうだと確認します。よし、最後に少しペースを上げてみよう。

40㎞地点通過。跨線橋を登ります。いよいよこれが最後の登りでしょう。さあ後は僅か2㎞ですよ。

41㎞地点通過。住宅街、商店街の中を走り抜けます。いよいよペースを上げてみました。

42㎞地点を過ぎたら右手にゴールが見えました。なんだ、もうここか。よし行くぞ、っとラストスパート。ゴールへ駆け込みました。ゴールの電光掲示板で4時間40分程度であることを確認しました。

ゴールしたら荷物を受け取り、更衣室へ入ります。着替えたら、とりあえず荷物整理と水分、たんぱく質の補給をしたかったので座れる地面を探しました。

預けていた荷物からプロテインを出し、シェイカーで作り流し込みます。
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いただいたメダルはこのデザイン。
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裏にはFINISHERの文字が。そうか、俺も千葉アクアラインマラソンフィニッシャーなんだな。
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荷物整理をしていると、イベントが始まりました。柏原竜二さん、ぱっぱら―河合さん、にしおかすみこさんらがトークショーを披露していました。でも帰ろう。
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出店ブースに立ち寄り、職場へのお土産を購入しました。もういいかな。帰ろうっと。ん、血管年齢測定だって?待ち時間0、ならやって行こうか。おお、結構若くでましたよ。アンケートに答えたら、くじが引けます。あんまり荷物にならない方がいいので、外れでいいんだけどな。

ガランガランガラーン!大当たり、タニタの体組成計です。

あ、当たっちゃった。
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まだまだ、続々とゴールしていきます。牛さんも応援しています。でもごめんね、先帰らせてもらいます。
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木更津駅までシャトルバスを利用しました。
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家に帰ったのは18時30分くらいでした。ヘロヘロになって帰って来ると思った妻と娘、意外なほど元気で帰ってきたのでがっかりしていました。

大会関係者、そして沿道の応援の皆様、本当にありがとうございました。大変い楽しいマラソン大会でした。次に走るかどうかは分かりませんが、走っちゃう可能性も大いにありです。

  • 完走おめでとうございます‼️
    素晴らしいですね。普段からの山歩きやトレーニングの成果なのでしょうね。
    あと、非常にクレバーですよね。私はいつもテキトーに走ってました(笑) 削除
    Breva750−kan
    2018/10/24(水) 午前 4:05
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    > Breva750-kanさん
    ありがとうございます。KANさんのアドバイスのおかげで貴重品管理も万全に出来たし、終了後にスムーズに帰宅することができました。感謝しています。

    テキトーに走っているはご謙遜でしょうが、もし本当にテキトーでサブ4なら到底私の到達できるレベルではございません。あれこれ考えながら走ってやっとこの有様です。でも、初マラソンでしたので、完走できただけでも非常に嬉しいです。 削除
    2018/10/24(水) 午前 9:10
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    御年○歳にしてフルコース初挑戦、これがビックリです。
    いくら山を歩くから、バイクをこぐからといっても、筋力の使い方はそれはそれ・これはこれ、本当にすごいと思いました。
    平気な顔して帰宅して、お宅の皆様があきれ顔というのもおもしろいですね。 削除
    2018/10/24(水) 午前 10:28
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    > 山のmochiさん
    何でもやってみる物だと、今回も思いました。仰る通りバイク漕ぎ、山登りは心配を鍛えてきたと思いますが、マラソンの練習でさらに心肺機能が向上し、これが登山や自転車レースにもまた良い影響が出るでしょう。全てはつながっていることがまた楽しみでもありますね。

    家族は冷めた目で見ているということなのでしょう。それもまたよし、です。 削除
    2018/10/24(水) 午後 8:54
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