朝5時起床します。電子レンジにご飯と餃子、両方とも昨夜の残り物ですが、突っ込んで温まるのを待つ間、タブレットで天気予報を確認します。んー、やはり雨か。南の海上に低気圧が通過中、湿った空気が流れ込み、、、、。
 
南房総は5㎜程度の降雨?本当か???でも、館山まで行かなければ基本大雨になる感じはしないので、決行しよう。
 
6時、家を出ます。乗るはエスティマハイブリッド。穴川~貝塚の渋滞は毎度のこと、今日はむしろましな方でした。
 
そして、8時丁度、保田の海岸に到着しました。
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駐車場はガラガラ、天気は曇り、時々小雨。そして寒い!まず着替えましょう。ネオプレンのロングジョンに、ラッシュガード、アノラックを着込みますが、まだ寒いくらいです。
 
着替えが済んだら艇の組み立てです。グリーンランダーの場合、車でアクセスの時には間違いなく前日組み立て、カートップで運搬なのですが、クルーソーなら躊躇せず、現地組み立てを選択できます。組み立てやすさはそれほど違いますね。
 
でも、バタフライの組み立て動画の様に7分30秒ではできません。よくよく見ると、初期型で現行モデルとは違いもあるし、センター確認もしていないし、シートも付けていないし、、、、。で、普通に組めば16分でした。
 
さらに私は、浮力体を入れてみました。その分時間はかかります。コックピットポッド艇でもこれを入れるのは、なんといっても単独行だからです。万が一、沖合でスキンがざっくり避けて多量の海水が艇内に入っても十分な浮力を得られるように、という配慮です。特に今日は南東の風、本線航路へ流されてしまうでしょう。
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リアにはさらに50lの防水バックパックも入れて浮力体としています;。
 
組みあがったら艤装します。事前にやっておいたのですいすいできます。予備パドルはコックピットから取り出せるように差し方を変えてみました。
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カヤックワーゲンで波打ち際まで持って行きます。
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バウハッチから荷物を積み込みます。グリーンランダーには自作のハッチを付けていましたが、手がやっと入るだけのサイズで、とても荷物を積み込むことなどできませんでした。コックピットの足元から入れて、奥へ引くために必要だったのです。
 
ところが、クルーソーにオプションのラージバウハッチにすれば、10ℓドライバッグを飲み込むのです。しかも、中も広くて、Lサイズ浮力体、10ℓドライバッグを二つ、メスキットなどを詰めてもまだ余裕があります。
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これは便利!
 
いよいよ進水式です。アルコールを飲まない私ですから、艇にも付き合ってもらいましょう。私の大好きな飲み物、東京都の水道水で航海の安全を祈願します。
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式が済んだら、早速乗り込みましょう。コーミングは広くて乗り込みは楽です。シーソックの防水性も完璧で、安心して濡れた足で乗り込めます。スプレースカートを装着します。木製コーミングのグリーンランダーより、かかりが多くて楽に、しかもしっかりとかけられます。ただし、スカートが外れなくなると怖いので、パニックループは確実に外に出ていることを確認します。今回、スカートは純正の物ではなく、モンベルのファスナーで前を開けられるやつにしてみました。もちろん、ばっちり装着できることは事前に確認済みです。
 
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さて、それでは漕ぎましょう。目指すは南の方角に浮かぶ、浮島です。この島は個人所有だそうで、やたらと上陸できないようです。椎名誠のエッセイにも登場するのですが、その時には所有者がカネにがめつい偏屈な人だったと記されています。書かれてからもうふた昔以上経ちますから、世代交代しているかもしれませんね。
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時々雨が降ってきます。アノラックのフードを被っていれば済む程度です。
 
 
浮島を過ぎたら、岩井海岸へ入って行きました。ここは子供たちが小学5年生の時に、臨海学校で来たところです。楽しかった話をたくさん聞きましたが、私がここに来るのは初めて、なるほど、ここがあの話の現場か、というところが何カ所かありました。伝説の肝試しもこの辺のはずだな。
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上陸して、トイレを済ませたら、時刻は11時、昼食調理を開始します。
 
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今日のメニューはポトフおじやです。ご飯は昨日の残り、ポトフは山行の予備食の残りです。
やや風が強く、EPIの火が飛んでしまってなかなか温まりませんでしたが、何とか完成しました。うん、うまいよ。
 
 
帰り道も、時々雨に当たります。風はますます強くなってきます。ウェザーコッキングは弱いながらも現れるので、片側を強く、反対側を弱く、そしてリーンをかけて対処します。シートの位置をもう少し後ろにすればいいのかな?でも、海の上だと移動できません。一番いい解決方法は、ラダーの装着でしょう。ラダー不要を謳っていますが、ジョン・ダウドは「ラダーがなくても問題ない艇に、ラダーが付いていれば完璧。」といいますから、ここは自作するかなあ。
 
赤いボートを前方に発見、挨拶するかと近づけば、ブイでした。この辺りは岩礁が多く存在します。その先に見える岩礁はディズニーシーの火山の様にも見えますね。
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海藻がびっしり生えています。内房も実は、豊かな海なのですね。
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港から大型船舶が出て来ました。進路を見極め、確実によけます。カヤックは大型船舶からはなかなか見えないものらしいです。赤い艇だといくらかは見つけやすいでしょう。見つけてもらえるまでのわずかな時間の違いが、結果の大きな違いになることもあるでしょう。
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追い風、追い波状態ですから、疲れる前に車が見えてきました。でも、尻が痛い!
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上陸しました。
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着替えたら、艇の解体です。驚くべきことに、バウもスターンも、船体布の中に全く海水が入っていません。こんな艇は初めてです。船体布の防水性、縫合部(高周波溶着)、開口部の処理、そのすべてが高いレベルである証でしょう。グリーンランダーでは、かなり丁寧に水を拭き取ったのに、帰りの電車の中で水がしみ出してきて困ったことがありましたが、この艇では外側とシーソックの中だけ拭き取ればもうそんなことはないはずです。
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艇のインプレッションをしておきましょう。
 
速度ですが、意外なほどの速さで巡航できます。パドルタッチも軽めで、素直な動きをします。グリーンランダーと比べても、巡航速度は速いくらいです。しかし、猛烈に漕ぐとグリーンランダーより早く白い引き波が出てしまい、速度上昇は頭打ちになってしまいます。
 
左右のロール安定性はかなり高く、初めてカヤックに乗る人でも不安は感じないでしょう。傾けても戻ろうとする力が大きく、安心して傾けられます。外傾ターンもスムーズにできます。ただし、グリーンランダーなどの上部が張り出した形状の艇と比べれば限界は早く訪れます。でも、比べる相手が悪い感じですね。その分、ロールはやりやすいでしょう。
 
波を越える時、ややしなる感じがします。不安定になるほどではないので、問題はないでしょう。むしろその時に底のスキンがばたつく方が気になります。横方向のスキンテンションが弱めだからでしょう。エアチューブの容量を増やしてスキンテンションを高くするか、キールサイドストリンガーを設置すれば改善されると思います。でも、組み立て時間は長くなりますから、「○○分組立」にこだわると無理でしょうね。私的には少々組み立てに時間がかかってもいいのですが。
 
ただし、乗ったことのない艇ですから何とも言えませんが、アルフェックのエルズミア480も「高速型フレーム」と称していますが、これもキールサイドストリンガーがありません。もしかしたら、下手にスキンテンションをあげるより抵抗が減るのかもしれません。私には流体力学の知識がありませんので、「底のバタつきが感じられた。」だけにしておきましょう。
 
コックピットはやや深めですが、漕ぎにくさを感じることはありません。ただ、コーミングの内側に膝を当てるところが付いてはいますが、まだ高さが不足です。私の場合はニーブレイス等を付けるフィッティングをしたくなりました。
 
シートは私には合いませんでした。座面は硬柔2種の発砲ウレタンを入れた凝った作りなのですが、私にはまだ硬すぎました。1時間半で尻が痛くて仕方がありませんでした。柔の方を抜いてエアマット入れてみようかと思っています。心配された「キールフレームを尻が感じる。」は、水上ではほとんど問題ない程度でした。バックレストは良い作りです。良い角度になるように、しっかりとストラップを調整しておけば腰痛にはなりにくいでしょう。
 
座面の中です。白が硬いフォーム、灰が柔らかめのフォーム。製作者の引いた切り取り線が見え、その苦労が忍ばれるところでもあります。
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丁寧にやっても15分ほどでパッキング終了しました。水が艇内に入っていないので、本当に楽です。帰るころになって日がカンカン照りです。暑い暑い、水を飲みながら作業しました。
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帰りにグローボのクリアウォーターカヤックスに寄り、17時帰宅しました。帰宅したら艇の手入れをします。普通のファルトボートだとスキンの中まで海水が入り込んでいるので、砂抜き、塩抜き、水抜きが大変ですが、この艇はそれがないので楽ですね。濡れぞうきんで拭くだけですみました。(済ませました、かな?)
 
天気は晴れている時には全く乗れなかったのですが、午後の天気では紫外線が気になりますから、塞翁が馬、ということですね。良い進水式となりました。


バタフライ高いレベルでクラフトマンシップが生きてますね! 私のカサラノも家来てからシーソックスを新調して、ロールしなければ浸水はゼロなので撤収が早いです。
これって、ファルトで旅するの結構キーワードですね! 削除
沢味家
2014/4/15(火) 午前 0:16
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進水式おめでとうございます!
インプレを聞くだけで、とても良い艇だと言う事が
わかりますね~(*^_^*)
組み立ても以外と時間がかからないのは
驚きです。
一日違いだったら、海の上でお会いしてたかも(笑) 削除
2014/4/15(火) 午前 6:05
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進水式おめでとうございます。
私もバタフライカヤックス(タンデム)オーナーなので
楽しく拝見しています。
内房は重油が心配ですが問題なかったようですね。
東京住みなのでどこかでお会いすることがあれば
そのときはよろしくお願いいたします。 削除
[ wasshoi ]
2014/4/15(火) 午前 9:39
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沢味家さん、kikuさん、wasshoiさん、コメントありがとうございます。

沢味家さん、フェザークラフト カサノラ、いい艇にお乗りですね。友人3人が所有しておりますが、 組み立て、漕行時のじゃじゃ馬ぶり、そしてなんといっても価格が問題なので、とても私には手にできません。

Kikuさん、私もフィッシングカヤックの人を見かけると、ついkikuさんを探してしまいます。いつか海の上でばったりということもあるでしょう。その時にはよろしくお願いします。ちなみにスズキは大好物です。

wassyoiさん、はじめまして。バタフライカヤック新参オーナーの者です。重油は私も気になっていましたが、私の漕いだ辺りでは全く問題はなかったようです。機会があれば、ご一緒させて下さい。 削除
2014/4/15(火) 午前 10:50
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丁寧なレポートをとても興味深く拝見しました。
なるほどなるほど・・・いろいろ参考になります。予備パドルのホールドは結局そこに落ち着きましたね(^^)。
シートの位置やバッグの位置を動かして、トリムを変えていろいろ試してみてもよさそうですね。
船体布の張りの弱さは計算されたものなのでしょうか?。よく、モーターボートのボトムに直進性の向上やスプレーカットのために線状のストライプがついていますが、ファルトのボトムも水圧で押されるとキールとチャインがはっきり浮き出てきて何かいい働きをするのでしょうか・・・?。
とにかく、進水おめでとうございます。 削除
[ viento ]
2014/4/15(火) 午後 8:58
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vientoさん、コメントありがとうございます。

予備パドルは、考え方によりますが、漕行中にパドルを交換したいと思った時に出来るようであってほしいので、ブレードを手前側にしてみました。逆だとドリップリングがバンジーコードに引っかかってうまく取り出せなかったのです。コックピットすぐ後ろのバンジーコードはショックコードではなく、細引きを自在結びで付けました。全部ショックコードだと猛烈な波を食らった時に、ゴムがのびて荷物が落ちてしまうことを警戒しての装備です。パドルブレードはこれで締め付けて固定しています。

何が正解ということはないので、いろいろ試してみているうちに、落ち着くことでしょう。

スキンテンションが低いとキールが浮き出る→直進性が増す、はおっしゃる通りだと思います。それをねらいとして設定しているのかどうかは尋ねてみないと分かりません。個人的には、もう少しテンションが高くてバタつきのない方が軽快に動けるように思うのですが。

文句もないわけではありませんが、海旅には良い艇でした。vientoさんも、早く納品されるといいですね。 削除
2014/4/16(水) 午前 11:07
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無事、進水式完了オメデトございます。
乗ってみてワカル事が色々ありますね。
今後の改良が試されますね(・∀・)
東京湾は船舶が沢山運航しているので安全確認が大事なのかな。 削除
2014/4/16(水) 午後 6:31
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くまそんさん、コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、浦賀水道は大型船舶の銀座通りですからね、まかり間違うと藻屑と消えてしまうことになります。タンカー、コンテナ船、LPG船、遠目に見ているとおもしろいものですが、近づくと怖いですよ~。 削除
2014/4/16(水) 午後 6:44
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