朝6時起床。とっとと朝食を作り、テント撤収。非常に居心地のいいサイトなので、もったいない感じもしました。
 
今日はいよいよ川下り。20年来の希望がかなえられる日なのですが、初めて漕行するのに単独行と、かなり不安もあります。水辺へ行くと、水のきれいとかより、気になるのはまず水量。初めて見る川なので、多いか少ないかの見当もつきません。
 
さて、いくつか河原にキャンプ場があることになっています。とりあえず車でそこに向かいます。しかし、まったく案内はなく、そもそも河原に車で降りられそうなところも見つかりません。キャンプ場とは、キャンプしても合法、というだけの場所のようです。寝るには差し支えありませんが、車の駐車に難儀しそうです。
 
結局、いくつか見ているうちにカヌー館まで来てしまいました。ここだと距離が長いので、交流館の上流から下るというのは難しくなります。でもまあ、単独行だし、安全第一でそれもいいか。
 
自転車をデポし、テントサイトの予約をしました。そしてふるさと交流館へ戻ります。ここで艇を組み立て、出艇の準備。艇はこの区間はグモテックス‐サファリを使用します。この艇はインフレータブルとしては左右に安定感がなく、簡単に沈できる優れものです。艇を組み立てていると、地元の方が話しかけてこられました。
「一人で下るの?」
「はい、。」
「どこまで?」
「今日は江川崎までの予定です。」
「気を付けてよ、先週もこの先、左に曲がって右に曲がったところにある瀬で、事故があって大変だったみたいだよ。」
地図を見てもらうと、細々の瀬のことらしいです。下見をして、無理そうだったら担いでいく(ポーテージ)ことを伝えると、まあ気を付けてや、と言ってくださいました。
 
艇を組み立てたら、着替え、持参装備を確認、ヘルメット着装。張つき事故に備えてロープとカラビナを多めにドライザックの中へ。地図はマップケースに入れて艇に括り付け、10時10分いよいよ下降開始。
 
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やはり水はきれいです。まずは簡単なザラ瀬、そして段差。サファリにとっては役不足な瀬です。そこから結構なトロ場。朝から出艇まであくせく動いていたので、急にゆっくりになってしまうと脳が変化についていけずにがむしゃらに漕ぎたくなってしまいます。
 
だんだん右へ曲がっていくと、大きな瀬の音が聞こえてきました。これがその細々の瀬です。まずはスカウティング。右岸に上陸し、徒歩で全景を確認します。けっこうパワーがありますが、流れはまっすぐで出口の岩に気を付ければいけそうでしょう。入り口は3本ほどあり、真ん中ルートだと素直に行けそうです。コース中央にはホールができていて、はまると漕ぎぬけるのにパワーが必要な感じです。勢いを付けて侵入し、慣性で抜けるとよいでしょう。
 
艇まで戻ると、早速アタック開始。カメラは動画モードにしてライフジャケットに挟み込みました。上流にバウを向け、ゆっくり川の中央へ漕ぎ、いよいよ反転。一気に加速し、真ん中ルートへ。下見で確認したのですが、視線が変わるとどのルートだったか怪しくなってきます。もう進行してしまっているから後には戻れません。えいや、えいやとパドルを波頭に突っ込んで漕ぎ進むと、前方にホールが見えます。ここだ、とパドルを入れようとしたら浅くて漕げません。速力が足りない、と感じたそのままにホールに突っ込み、補足されてしまいました。そしてそのまま左にローリング、あえなく沈となりました。左岸へ艇を引っ張って上がり、装備類の確認。流失はなく、カメラは外れてストラップでぶらぶらしていました。
 
さてどうするか。担いで降りるという手もありましたが、やはり漕ぎ抜きたいという思いの方が強く、担いで登る方を選択。瀬の途中から、再度チャレンジ。ホールにはやはり補足されそうになりましたが、今度は腰をうまく使って瀬から艇を抜き出し、そのままスタンディングウェーブの巣へ突撃。おりゃー、おりゃー、おりゃー、と抜けて、最後は右の岩を大きく避けて漕ぎぬけ、無事通過。四万十川、なかなか楽しいではないの。
 
そこからまたトロ場が続きます。瀬があっても大したことはなく、のほほんのんびりと下っていきます。時々釣り人がいますが、意外なほど好意的で、コースを開けてくれるのはもちろん、話しかけてくる方もいらっしゃいました。
 
こいのぼり公園まで来ました。9月だからか、一匹も泳いでいませんでいた。そこを抜け、左に曲がるところがワロウ淵。大蛇伝説があるそうです。淵の下に瀬があり、けっこうパワーがあって楽しめます。
 
そこからまたトロ場が続きます。時計を見ると、もう12時10分。上がって食事にしました。地図を見ると、まだまだ江川崎は遠いので、暗くなる前にテント張まで行けるか気になってきます。とっとと食べて、出発。ちなみに、私のプロフィール写真はここで撮影したもの。
 
大きな橋が見えてきました。広井大橋です。その下に藤の瀬があります。ここも下見。中州に上陸しました。いちばん右を行けば行けそうです。十分下見をして、艇に乗り込み、Go.。しかし、左岸寄りに上陸したのが運の付き、漕ぎだしてすぐ、どんどん左岸に流されてしまい、結局真ん中ルートになってしまいました。2回くらい底をすりましたが、そこはダッキー、無傷で通過。
 
R381の下をくぐり、トロ場と瀬が交互に出てきます。十分水量はあり、底をすることはありませんでした。
 
不釣り合いなくらい派手で大きな橋がかかっています。その下の瀬には釣り人が多くいて、声をかけてルートを空けていただきました。気田川では「こっちくんな!」「担いで降りろ」など罵声を浴びせる人たちがいて、おつきあいをしてしまうとこちらののどもがらがらになる始末ですが、この川は全くそんなことはありません。そんなわけで、こちらもつい、釣り師の後ろを抜けたりと、気を使ってしまいます。
 
やがて左に曲がってくると、鉄橋が見えてきます。この辺りは一層山深く感じられる、ある意味寂しい雰囲気の場所です。釣り人もなく、道を行く車さえ見かけません。
 
鉄橋を越えると、奥半家沈下橋があります。もしかして、四万十川で見る初めての沈下橋かも。その下もちょっとした落ち込みになっていて楽しめました。
 
そしてついに、本日のメインイベント、茶壺の瀬に到着。なぜ茶壺なのかは分かりません。ご存知の方、お教えください。
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これもスカウティングから始まります。時刻はもう14時になろうというところ。雲も多く、暗くなってきています。瀬は落ち込みの下にできている大きなホールと、その後ろにそびえたつようなスタンディングウエーブとで構成されています。ホールに入るのに、まっすぐではだめで、コースを曲げていかなければ引っかかりそうです。
 
さて、度胸を決めて艇へ乗り込みます。ゆっくりルートに乗せ、ここ、というところから猛烈に漕ぎを入れます。そして左に曲げながら落ち込をドボン、ホールを勢いで突き抜け、スタンディングウェーブへ突撃。一つ、また一つ乗り越え、だんだん小さくなっていき、クリア。楽しいなんでもんじゃないですよ、これは。時間に余裕があったらもう一度、違う抜け方でトライしたいくらい。
 
さて、時間がない。そろそろ上がっていたい時刻です。先を急ぎます。ここから先はトロ場が長く、しかも向い風と、サファリには荷が重い展開です。長生沈下橋あたりは人が多くいるそうですが、今日は全くなし。しかも橋が壊れていて、落ちた橋の一部が水中に見えます。金額の張る大橋はどんどん作りますが、沈下橋の補修は全くしないのでしょうか。
 
いくつか楽しめる瀬もありましたが、江川崎の橋が見えてからはただただ辛い漕ぎです。ふらふらと進路を保とうとしないサファリをなだめながらパドルを漕ぎ続けます。
 
いい加減疲れた15時15分、ついにカヌー館前の河原に上陸。流されないところまで上げてから、荷物を整理し、貴重品をウエストポーチに入れます。そして着替える間もなく、濡れたウェットジャージのまま自転車へ。ここからふるさと交流センターまで車を取りに行くのです。
 
自転車はこの日のために手入れしてあったので、快調そのもの。道から下を眺めると、今日通過した川が見えます。ああ、あそこはこうだったな、などと思い返してじっくり見たいところですが、日暮れまで時間がありません。道は高規格なのに交通量はほとんどなく、自転車で走りやすいのは助かります。ただし、無駄な公共事業という側面から見たらどうなんでしょうね。
 
前方から鉄道が走ってきます。後ろに連結しているのは、トロッコ!乗客は陽気に手を振ってくれました。JR四国はすべてのJRの中で、最も収益の悪い会社だそうです。JR東海がリニアなんて言っている時代に、むしろ遅さを売りにするトロッコ列車を運行しているのは知っていました。なるほど、これは楽しそうです。速いだけが集客じゃないんですね。
 
16時20分、ふるさと交流館到着。車に自転車を乗せ、乾いた服に着替え、戻ります。食材は江川崎のスーパーで四万十牛の餃子の生タイプと、豚肉の生姜焼き、筑前煮、そしてソーセージを買いました。飲み物は、アルコールを飲まない私ですのでキリンフリーにしました。
 
サイトについてとっととテント設営、夕食の準備。このサイトも芝生でとても気持ちのいいキャンプができます。すぐに暗くなってしまい、ランタンを点灯しました。
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食後はシャワーを浴びてから寝ました。
 
4日目に続く


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この四万十川漕行記まだ読めてません、甲斐駒単独行をいま読み終えたばかり。夏のアウトドアをたっぷりとお楽しみのご様子、何よりです。何しろ貴殿の体力が素晴らしいですね、普段から鍛えていらっしゃるから出来ることだと拝察。山行十話という、友人が書いた変な本をときどきかまって下さって、、、彼のblogはある方面からの妨害回避のために顔も名前も出すことを避けている様子で、怪しいやつです。でもロバの山靴の話、懐かしいなあ。塩見小屋がいまは幕営禁止とは知りませんでした。あの数年後にもあの小屋の前で休憩しましたが、まだ幕営させていました。
甲斐駒へはお客様を案内して三度行き、二度は登れて、一回は仙丈岳登山後の天候大崩れのために広河原を間一髪で脱出しました。それにしてもアサヨ峰にも魔利支天にもボクの足跡なく、今となってはとても悔やまれます。
山は安全第一に、という基本をしっかり守っておられるご様子、これからもご家族ともどもお楽しみ下さい。 削除
2012/9/14(金) 午前 4:46
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追伸:四万十川カヌーも続いて読了。ボクには専門用語が分かりませんが、臨場感があり、批評精神もあって、面白く読みました。去年の回想記だったのですね。さっきまで「ずいぶん遊ぶ時間があるもんだな」なんて誤解してました。20年勤続のご褒美、よかったですね 削除
2012/9/14(金) 午前 9:42
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尊敬する文筆家にお読みいただき光栄の極みです。山にしても、川にしても、外遊びの基本、安全第一を心掛けているのですが、父には無謀な冒険をしているように思われているようで、雨が降るから行くな、などと言われることがままあります。晴れの日ばかりが山ではなく、本当によいサブタイトルです。 削除
2012/9/14(金) 午後 9:16
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